ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が1日、V2から一夜明けてオンラインで会見した。井岡に次ぐ日本人2人目の4階級制覇を世界最短で狙った同級1位田中恒成(25=畑中)に、8回TKOで完勝した。「大みそか1日で1年間が無駄じゃなかったと。信じてやってきてよかった」と満足感に浸っていた。

左フックで3度のダウンを奪って仕留めた。最後は「気持ちで来てるなら、足も使えるが気持ちで返そう。打ち合おうと誘った」と、狙い通りに仕留めた。

自宅で試合映像を見たが、試合中の印象と「ほぼ変わりはなかった」と言う。「細かい戦略もあったが、どんな展開になっても負けないと思っていた。余裕を持って戦えた」と振り返った。

左目の下を赤く腫らしていた。2回に田中の右ストレートをもらった。「スピードは評判通り。パンチ力もそこそこ。上下の打ち分け、コンビネーションもあり、全体のバランスは取れていた」。世代交代を期した相手を評価も「やってきたこと、時間も違う。黒星をつけるしかない」。4階級制覇第1号のプライド、経験で下克上を許さずにはね返した。

田中優位の声もあった中で完勝した。「成長過程の中でしっかりと動きができていた。やりたいことができ、見せられた。試合で出せてこそ実力。自信は高まった。まだまだ伸びる。成長、進化できるようにやっていきたい」とさらなる高みを目指す。

21年の目標には「一番は統一王者になること」と掲げた。WBC王者ファン・エストラーダ(30=メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)が、3月に統一戦を予定している。「勝者と対戦を希望する」。

井岡は同じ4階級制覇の「ゴンサレスが優位」とみる。「エストラーダの評価が高かったが、最近はパンチをもらい、いいパフォーマンスができていない。ゴンサレスは地力があり、元々の強さがある」と評し、色紙にも「2021年統一王者」としたためた。

普段なら試合を終えると家族と海外旅行に行くが「日本でゆっくり過ごしたい」と、標的が定まるまでは英気を養う。コロナ禍で状況がどうなるかは不透明だが「やるときめたことをやるだけ。モチベーションに変わりはない。あとは1戦1戦、結果を残して証明していくだけ」と決意に揺るぎはなかった。