ゼロワン所属の田中将人(48)が存在感を見せた。丸藤、武藤らのM's allianceのメンバーとして参戦している田中は、メインマッチで若手実力者の清宮海斗(24)に、シングル初対決で勝利。「ノアのリングに上がっているからには仲間だけでやっているわけにはいかない。ここで田中将人を売り込みに来ている」と力強く語った。

清宮の腰を徹底的に痛めつけ、エプロンで豪快にラリアットを決めた。中盤にはトップロープから雪崩式ブレーンバスターを決め、流れをつかみ、最後はスライディング弾丸エルボーを前後からさく裂させて3カウントを奪った。「(相手は)何個か前のGHCチャンピオン。機会を与えてもらって感謝している。この勝利が何かにつながると思う」と今後を見据えた。

デビュー28年目。新日本や全日本、NWAなどさまざまな団体のリングに立ち、多くのタイトルを取ってきたプライドがある。「若い人間にスパッと負けたら、これまでのプロレスラーや、今まで巻いてきたベルトにも失礼」と話す。試合後にはデビュー3年目、120キロの稲村からにらみ付けられシングルマッチの挑戦を受けた。タッグマッチで何度か対戦経験のある田中は「僕の若いころより全然すごい。重いタイヤを持ち上げたり、いいものを持っているのは肌で感じている」と実力を認めた上で「1つの武器だけど、パワーだけでは勝てない」とベテランの技術で強さを見せつけるつもりだ。

前日1日にはゼロワン岩手大会に出場、4日には札幌でリングに上がる予定だ。コロナ禍で延期になる興行もある中、全国を駆け巡り、ファンを元気づける。プロレス以外でも「ゼロワンお助け隊」として地域貢献や抗原検査キットの配送などにも精を出す。「28年いろんな団体で結果残してきた。若い選手に負けるわけにはいかない」。まだまだ元気いっぱいの田中は、力強いプロレスをこれからもさまざまリングから全国に届ける。【松熊洋介】