ボクシング元東洋太平洋ライト級王者中谷正義（32＝帝拳）が6月26日（日本時間27日）、米ラスベガスで世界最速で世界3階級を制覇した元3団体統一同級王者ワシル・ロマチェンコ（33＝ウクライナ）と対戦する。王座陥落したロマチェンコの再起戦でもある同カードはWOWOWによる生中継が14日、発表された。米老舗専門誌ザ・リングの最強ランキング、パウンド・フォー・パウンドで1位に君臨していた実力者と拳を交える中谷はこのほどインタビューに応じ「自信しかない。ぶっ倒しますよ」と強気だ。注目カードに向けた一問一答は次の通り。

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－ロマチェンコ戦決定時の気持ちは

中谷　2カ月半ぐらい前、ジムで練習中に本田（明彦）会長から「やるか？」と聞かれたので、その場で「やります」と答えました。素直に試合ができること、ロマチェンコと戦えることはうれしいんですが、ロマチェンコが（現3団体統一王者テオフィモ・ロペスに）負ける前だったらもっとうれしい気持ちが強かったと思います。

－そのロマチェンコ－ロペス戦はどう感じたか

中谷　ロペスが良い戦いをしたけれど、ロマチェンコもいつもの動きとは違ったと感じました。特に前半、手数が少な過ぎました。判定に関してはいろいろ言われていますが、負けになっても仕方ないかなと…。

－19年7月にロペスと対戦しているが、印象は

中谷　僕と戦ったときのロペスは「どんなふうに倒してやろうか」という感じでなめていたと思います。計量の前に寝転んでいたので体調もベストではなかったんじゃないですかね。ロペスに対するこだわりはないけれど、負けたままでは終われないという気持ちはあります。

－ロペス敗退後、1度は引退した

中谷　僕はアマチュア時代、散々負けてきたんです。本来やるべき練習をやらず、妥協した練習をして、その結果、負けていた。そんな甘えを捨てるため、プロになったときに「1回負けたらやめる」と決めたんです。でも、やめた後に大学の先輩が石田順裕さん（元WBA世界スーパーウェルター級暫定王者、現寝屋川石田ジム会長）と食事する機会をつくってくれ、そこで石田さんの話を聞いて「もう1回挑戦してもいいかな」と。

－そのロペス戦、復帰戦の昨年12月のフェリックス・ベルデホとの試合は米国で実績を残し、海外で評価が上昇中だが

中谷　英語で書いてあることは分からないので、正直いって実感がないですね（笑い）。

－現在、3団体で世界10位以内にランクされている

中谷　全然、満足していません。やっぱり目標にしてきた世界チャンピオンになりたいので。世界を取ってから自分がどんな存在になりたいか考えます。

－そのためにもロマチェンコには勝ちたいですね

中谷　自分のなかでは（ロマチェンコ戦は）余裕の通過点という位置づけです（笑い）。楽勝だと思っています。これは誰と戦うときもそうです。

－ロマチェンコの強みは

中谷　1番はロマチェンコにしかできないボクシングをしている点で、それが強みだと思います。たとえば左右にクルっと回って打つとか。それで相手は対策が立てられなくて圧倒されていたんだと思います。でも、最近はその魔法が解けている感じがします。

－ロマチェンコはスピードもある

中谷　そこまでパンチが速いとは思っていません。たしかに（パンチの）回転と足は速いけれど、パンチそのもののスピードは他の選手とそれほど変わらないと思います。出入りのスピードがあるから速く感じる、速く動いているように見えるだけで、そこに惑わされなければ速さは感じないんじゃないかと思います。－どのあたりにつけ入る隙があるか

中谷　パンチ力は特別にあるとは思わないし、一撃の怖さは感じられないので、そんなところにこちらの活路があるんじゃないかと。

－自身の強みは

中谷　体の大きさと距離、ロングレンジで戦える点です。でも、それは僕の長所であり短所でもあるんですよ。ロマチェンコとすれば遠い距離はしんどいかもしれないけれど、懐に入れば得意のボクシングができるので有利でしょうね。だから僕とすれば自分の距離と体の強さ、それにパンチ力を生かして戦いたいですね。

－もっとも自信を持っているパンチとは

中谷　どのパンチも強いと思うけれど、1番は右ストレートと左ボディブローですかね。当たれば倒せます。

－ロマチェンコ戦でカギになるパンチは

中谷　左ボディブローですね。僕が自信を持っているパンチなので、それを打っていきたいですね。

－理想の展開、最悪の展開のイメージはあるか

中谷　理想は、ロマチェンコがある程度は警戒してくれて僕の距離で戦う時間が長い－そういうラウンドが増えていけば僕は楽ですね。最悪はロマチェンコが1ラウンドからポイントを取りにきて、僕が懐に入らせないようにするけれど入られてしまう－それがイヤな展開だと思っています。

－どちらのイメージで練習しているのか

中谷　最悪の展開を考えてトレーニングしています。楽な展開はチョロっと練習すれば体はしんどくないので。でも、しんどい展開は戦略がないと打破できない、抜け出せないんです。だから先にしんどい練習からやっています。

－これで3試合続けてラスベガスで大物との対戦になります

中谷　日本でやろうと米国でやろうと別にたいしたことないですよ。僕自身、それが少し寂しい点でもあるんです。本来ならばテンションが上がるところだと思うんですが、僕はそういうのを感じられないので。

－今回は有観客の試合になりそう

中谷　もともと僕は会場は見ないので変わりないんじゃないですかね。見ると気が散るんです。リングに入ったら相手だけを見て、外野は視界に入れないようにしています。試合が終わってから周囲のことに気づける感じです。

－モチベーションは一段と高いものがあるのでは

中谷　いつもと同じです。ただ挑戦する立場なので気持ちの面では楽ですね。勝てばいいだけなので。これまでは勝ち方も問われることが多かったけれど、今回はどんな内容であっても勝てばいいわけですから。たとえ何度倒れても逆転で最後に勝っていればいいです（笑い）。余計なことを考えずに全力でいくだけなので気持ちは楽です。

－どんな試合にしたいか

中谷　前半勝負です。KOという意味ではなく、前半でペースを握れるかどうか、それが勝敗につながると思っています。もちろんうまくいけば倒せるかもしれないし、倒せなくても判定で勝てるような組み立てをしていきたいですね。

－試合に向けた意気込み

中谷　自信しかありません。ぶっ倒します！

◆中谷正義－ワシル・ロマチェンコ戦放送＝6月27日午前11時からWOWOWプライムで生中継