WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が防衛(WBA5度目、IBF3度目)に成功した。

IBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)を3回2分45秒、TKOで倒し、日本人初となる2戦連続の「聖地」防衛に成功した。

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井上はよりモンスターになった。ダスマリナスもランク1位の指名挑戦者で決して弱くない。その相手に勝って当たり前の評判で、いとも簡単に倒した。圧勝。より強さが増したとしか言いようがない。

最初に左フックを引っかけ、懐の深さ、距離、感触をつかんだ。サウスポーは右回りが基本で、ダスマリナスも動きながらワンツー狙いだったはず。あそこからはそれができなくなった。というよりも、井上にそう動かされたと言える。

恐怖を感じて、強いプレッシャーもあり、すでに腰も引けていた。もう井上がいつ決めるかという展開。ダウンはいずれも左ボディー。最後は左アッパーを打ち込んで、サイドから角度を変えての左ボディー。より一層の強さをアピールするフィニッシュだった。

カシメロは井上へ挑発が続くが、本当に初回からどんどん来るのか。ドネアは1度負けたが、左フックをしっかり当てた手応えが残る。リゴンドーも衰えたが名がある。ファンとすれば、誰かでなく一人ずつをどう倒していくかを見たい。この階級での負けはもう想像できない。(元WBC世界スーパーフライ級王者)