挑戦者の元4団体統一クルーザー級王者オレクサンドル・ウシク(34=ウクライナ)がオリンピック(五輪)金メダリスト対決を制し、新たな3団体統一ヘビー級王者となった。

同級でWBA4位、IBF3位、WBO1位のウシクはWBAスーパー、IBF、WBO世界同級王者アンソニー・ジョシュア(31=英国)に挑み、3-0(117-112、116-112、115-113)の判定勝利を収めた。12年ロンドン五輪ボクシング男子ヘビー級金メダリストが、同五輪スーパーヘビー級金メダリストを撃破した。

ほぼマスクを着用していない約6万人の観衆による大歓声を浴びる中、序盤からウシクがペースを握った。3回には強烈な左フックが相手顔面にヒット。7回には強烈な左ストレートでジョシュアを後退させた。先手で攻める王者に対し、コンパクトなカウンター連打で対抗。終盤の11回には左ストレートで追い打ちし、最終12回にはダブルの左フック、左ストレート連打、最後は王者をロープに追い込む連打で締めくくった。

身長、体重ともに劣勢ながらも3団体統一王者を撃破したウシクは「特別なことは何もしてない。ただ、これは私によって大きな意味がある。試合は私が期待した通りに進めることができた」と自信たっぷりに笑った。王座交代を実現した達成感に浸ることなく、ウクライナ国旗をリング上で掲げると「まだ最高のウシクはみせていない。もっと良くなることができる」と向上心をみせ、2階級制覇の達成にも冷静だった。

18年にワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)クルーザー級トーナメントも制しているウシクは19年にヘビー級に転向。20年10月には地域王座となるWBOインターコンチネンタル・ヘビー級王座を獲得し、ジョシュアへの挑戦を待ち望んでいた。史上4人目の4団体統一王者ということもあり、現在も米老舗ボクシング専門誌ザ・リング選定のパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強ボクサー)ランクの4位に入っている。