ボクシング元WBA、WBC世界スーパーウエルター級王者輪島功一氏(78)の孫、磯谷大心(20=輪島功一スポーツジム)がプロデビューを果たす。14日、東京・後楽園ホールで、同じくデビュー戦となる羽賀彬光(35=DANGAN越谷)との68・5キロ契約体重4回戦で拳を交える。13日に都内で開かれた前日計量をパスした磯谷は、「炎の男」と呼ばれた祖父ら家族の助言を胸に初リングに立つ。

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前日計量を契約体重よりも100グラム少ない68・4キロでクリアした輪島氏の孫は希望に満ちた表情を浮かべた。同じくデビュー戦となる15歳年上の対戦相手、羽賀とは身長もほぼ同じ。お互いファイトスタイルも分からないものの、磯谷は「いろいろな想定はしてきました。相手が反応できないようなジャブをどんどん入れたい。1番は勝つこと。狙えたらKOも」と目を輝かせた。

輪島氏の長女大子(ひろこ)さんと元日本ランカーで現在トレーナーを務める父和広氏の長男として生まれた。幼稚園から始めたサッカーは進学した強豪高の部活動で「卒業」した。祖父、叔父大千(ひろかず)会長、そして父と同じボクサーの道を「高校2年からやりたいと思っていた」と明かした。12日には祖父と会い「いきなり相手がガッときた時、ただガードして固まったりしないで、動いて相手をよく見ろ」と助言を受けたという。

「かえる飛び」など独特な戦いでも有名だった祖父の過去試合は、動画で確認した。「すごい動きが変則的で、なかなか見ない動き。ただ自分のリーチの短さを補うように頭を使っていた。頭使うのはすごく大事」と分析した上で「いいところは取り入れたい」との意識が強い。父和広氏からも「オレが全部しょってやるから好きなようにやれ」と背中を押された。

試合観戦を予定の祖父は現役時代に「炎の男」と呼ばれた。磯谷は「格好いいですが(自分が)なれるかな」と苦笑い。「炎の男」3世はクールなファイトでリングに立つつもり。「見ている人が絶対に勝てるなと思える試合を。(パンチを)もらわず、安定した試合をみせたい」と初陣を待ち構えた。【藤中栄二】

 

◆磯谷大心(いそたに・たいしん)2001年7月4日、東京・三鷹市生まれ。幼稚園からサッカーを始める。ポジションはGKで、強豪校の埼玉・正智深谷高3年まで続けて最高成績は県2位。中学時代から体力づくりのため、ボクシングジムにも通う。人気ファイト漫画「グラップラー刃牙(ばき)」で格闘技に興味を持つ。19年12月から本格的にボクシングの練習を開始し、20年10月、プロテストに合格した。家族は両親と弟2人。身長182センチの右ボクサーファイター。血液型はB。