日本女子マットのスターダムで活躍した外国人レスラーたちが今、WWEで存在感を示している。第19回の「WWEの世界」は「スターダム→WWE」で頭角を現してきた2人を紹介。バイパーのリングネームで活動したドゥドロップ(30)がロウで、また19年にワールド・オブ・スターダム王座を奪取し、新日本プロレスにも登場していたビー・プレストリーことブレア・ダベンポート(25)はNXT UKで女子王座挑戦が迫っている。

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身長166センチながら体重は108キロとされるドゥドロップは今やWWE女子では異色の存在となる。主戦場は2大ブラントの1つとなるロウ。パワー自慢の前スマックダウン女子王者ビアンカ・ブレアと抗争を繰り広げながら存在をアピールしている。

今年6月のロウ登場当初からコンビを組んでいたエヴァ・マリーが11月にWWEから解雇後も、シングルプレーヤーとして目立っている。米メディアにWWEビンス・マクマホン会長から「我々はあなたのキャラクターをとても気に入っている」と激励されたというエピソードを明かしたドゥドロップは「クールな体験だった。私のファイトにとても満足しているようでした」とやる気満々だ。

日本で活躍していた当時から「メガトン・バービー」の愛称で親しまれ、16年に主戦場としていたスターダムでは「バイパー」のリングネームで活動。17年のWWE加入後は「パイパー・ニブン」にリングネームを変更していたが、ロウ登場時は現在のドゥドロップとしてリングに立った。9月にはSNSで結婚を発表。リングでもさらなる充実ファイトをみせそうだ。

そしてプレストリーとしてスターダムで19年にワールド王座を獲得したダベンポートも、英国を拠点とするWWEのNXT UKで王座奪取のチャンスをつかもうとしている。20年10月から新日本プロレスで第2代IWGP世界ヘビー級王者ウィル・オスプレイのガールフレンドとしてユニット、UNITED EMPIRE(UE)の一員となった。日本で知名度を上げていたが、今年3月の新日本ニュージャパン杯決勝でオスプレイに痛めつけられ、UEから追放。すると同7月からNXT UKに参戦していた。

現在はNXT UK女子王者里村明衣子(42=センダイガールズ)との抗争がスタートし、王座挑戦は間近に。母国の英国でもニックネームは日本語も交えた「トップ・ガイジン」を貫く。加入から半年で、里村の保持する女子王座を狙えるほどの存在感を見せているのが印象的だ。

「スターダム→WWE」のルートは、カイリ・セイン(宝城カイリ)、紫雷イオ、トニー・ストームらが先駆者。さらにドゥドロップ、ダベンポートが頭角を現してきたことで、日本の女子プロレスが世界に通じることをあらためて証明していると言っていい。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)