産後11カ月の東洋太平洋女子フライ級2位小沢瑶生(37=フュチュール)が3度目の挑戦で世界ベルトを奪った。

19年4月以来、約3年1カ月ぶりのリングで、WBO世界女子スーパーフライ級王者吉田実代(34=三迫)に挑戦。2-1(97-93×2、94-96)の判定勝利を飾った。序盤から最後まで手数多く攻め続け、注目の「ママさん対決」を制した。

「自分は(世界)チャンピオンになるために(リングへ)戻った」

世界王座獲得後、小沢はWBOベルトを肩にかけて達成感に浸った。王座挑戦のオファーを受けたのは産後4カ月の昨年10月頃。練習も再開しておらず、オファーを受けるのを1カ月迷ったという。最終的には「無理と思うことを一生懸命やったらかなえられる」と信じて同12月頃から練習を再開。

「産後なので私が負けるだろうという意見があったけれど、勝てる相手だと。結果で示せた」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

18年に結婚したジャズピアニストの夫岸本良平さんによるサポートは頼もしかった。昨年6月に誕生した長男緯泉(いずみ)くんの育児に積極的で、スパーリングの出げいこの際には車で送迎してもらった。今回の世界戦には130人の応援団が会場に集まったが、この応援ツアーの企画も良平さんが担当していた。

「主人が一緒に頑張ってくれて感謝しています。これまで家族を犠牲にしてきたので、主人のこととか、息子のことに時間をかけたい。何も考えずに家族で旅行にいきたいです」と率直な心境を口にした。

試合直後、長男を抱きかかえて世界王座獲得を報告。小沢は「息子は機嫌良く試合を見てくれた。主人もうれしそうだった。本当にしんどい思いしたのはチャンピオンになるためだったから」と満面の笑みで振り返っていた。