プロレスリング・ノア所属の武藤敬司(59)が、現役引退を発表した。来春までに現役引退すると自らの口で明かした。

12日、さいたまスーパーアリーナで行われたサイバーファイトに属する4団体の合同興行「サイバーファイトフェスティバル2022」内で発表した。

この日のセミファイナル前にリングに登場。代名詞であるプロレスリングLOVEポーズを豪快に決めると、マイクを握った。「武藤です。さいたまSA、たくさんの来場ありがとうございます。かつて、プロレスはゴールのないマラソンと言った自分ですが、来年の春までに引退します。あと数試合はするつもりです。ご声援お願いします」と引退を宣言した。

12月の60歳の誕生日を前に、武藤がリングから降りることを決断した。取材に応じた59歳は、決断の理由を「股関節が膝と同様に変形してきている」ためと説明。「(このままでは)股関節も人工関節にしないといけない。股関節が人工関節では試合はできない」とした。

10年に変形性膝関節症による右膝関節内遊離体除去の手術、18年3月には両膝の人工関節置換術を受けている。今年1月からは、左股関節唇損傷により欠場。先月21日の6人タッグマッチで4カ月ぶりにリング復帰を果たしたが、試合後には「正直、自分の技をかけるときに股関節に痛みが走ったりする。気持ちが落ちる」と、浮かない表情で振り返っていた。

「近々、報告があります」とし、この日の重大発表を予告していた。

引退時期や試合などについては「いつ、なんどき、どのようにというのは決まっていない」とし、「やめるということだけ決まっている。会社と相談しながらおいおい発表したい」と話すにとどめた。「本当はやりたいけど、ある意味ドクターストップ。断腸の思いです。やりたいことはいっぱいあったけどね…」と、無念さを口にする場面もあった。

化身のグレート・ムタについては「もう1回、2回開いたら、魔界の門も閉じて出てこられないようになるのではないか」とした。

20年からノアに参戦し、21年2月にはGHCタッグ王者を戴冠し、史上2人目のメジャー3団体シングル・タッグ王座の完全制覇を達成。今年の長期欠場前には「還暦イヤー。一般的には赤いちゃんちゃんこを着るが、ノアには赤いベルトがある。それを取りにいくというのも1つの夢」と、ナショナル王座戴冠に意欲を示していた。

◆武藤敬司(むとう・けいじ)1962年(昭37)12月23日、山梨県生まれ。84年に新日本プロレスに入門すると、同年10月の蝶野戦でデビュー。新日本の一時代を築き、同日入門の蝶野、橋本と「闘魂三銃士」と呼ばれた。その後、米NWAに参戦。化身の「グレート・ムタ」としても活躍。02年に全日本に正式に入団し、11年まで社長を務めた。13年「WRESTLE-1」を旗揚げ。20年4月からフリーで活動。21年2月、プロレスリング・ノアに正式入団した。入場時などに見せるプロレスリングLOVEポーズは代名詞に。俳優やタレントとしても活躍し、プロレス人気の一翼を担った。娘はタレントの武藤愛莉。188センチ、110キロ。