元サッカー日本代表FWカズの次男で総合格闘家の三浦孝太(20=BRAVE)が、満を持してプロ2戦目に挑む。

31日に総合格闘技RIZIN37大会(さいたまスーパーアリーナ)で、フェリペ“キングハンター”マソーニ(36=ブラジル)と66キロ契約体重3分3回で対戦。昨年大みそかには、1回TKO勝ちの衝撃デビューを飾った。リトルキングの7カ月ぶりの一戦に向けて連載を展開。第2回は「共同生活」。

    ◇    ◇    ◇

真価が問われるプロ2戦目。デビュー戦となった昨年大みそか大会の第1試合から、11試合目に“昇格”もした。三浦は「最高の舞台。緊張よりワクワク(のほうが)が大きい」と言い切った。

自信の下支えは、高校卒業後の21年4月から約3カ月間の経験にある。所属するBRAVEジムの三郷寮で初めての住み込み生活を送った。地方出身の選手や金銭的に余裕のない選手が、生活の場の提供を受けながら夢を追いかける場所。本来なら「そこに住まわせてもらえなかった」というが、入寮を志願した。「経験を積むことが大切」。15歳でブラジルに単身留学した父カズからのアドバイスだった。

宮田代表の内弟子たちとは年齢も近く、共同生活は刺激的だった。「ハングリー精神のある選手たちと時間を過ごして、どういう志で、どういう生活を送っているのかということを暮らしながら感じられた」。充実のトレーニングを積み、総合格闘技のいろはをたたき込まれた。

一方で、逃げ出したいぐらいつらい生活でもあった。「月から金の練習が、本当に普通の1カ月間に感じた。息抜きできるタイミングがなかったのはきつかった」。入寮前は用意されて当たり前だった食事は自炊。疲労困憊(こんぱい)で寝ることさえもままならなかった。

この経験は、プロ格闘家としての礎になった。得たものは大きかった。1つは感謝の心。指導陣やサポートしてくれる家族、仲間…。「ここにいる強い選手に全然勝てないのに、自分の方がいい大会に出られる。そのことへのありがたみを感じました」。格闘技ファンからは、親のおかげで…そんな批判も受けた。オファーを辞退すべきか、悩んだこともあった。

そんなとき、仲間の姿を見て思い直した。「(大きな大会に)出るために頑張っている人がいる。自分にチャンスが来たのに断るというのは、みんなにも失礼なんじゃないか」。チャンスを生かす。どんな時でも全力ファイトを誓った。

昨年の大みそか。プロデビュー戦を圧倒の1回TKO勝ちで飾った。次世代のスターと注目を浴びるが、下積みの経験はいつも胸にある。「意外とすぐ忘れちゃうのかなと思っていたけど、ふとした時に感じる。」。仲間たちと過ごしたあの季節がリトルキングを強くしている。【勝部晃多】

◆三浦孝太(みうら・こうた)2002年(平14)5月28日、神戸市生まれ。サッカー元日本代表FWカズ(三浦知良)とタレント三浦りさ子の次男。兄は俳優の三浦りょう太。東京・明星学園高時代はサッカー部に所属するも、17歳の時に格闘技に熱中しプロ格闘家を志す。卒業後は進学せず、宮田和幸氏のジムBRAVEで研さんを重ねる。175センチ、66キロ。

※三浦りょう太の「りょう」は狩の守が僚のツクリ

◆BRAVEジム シドニー五輪レスリングフリースタイル日本代表で元総合格闘家の宮田和幸氏が、現役時代の09年1月に東京・千住に開設。引退後は埼玉・三郷、草加、東京・世田谷、麻布十番を加え、5エリアに拡大した。寮を備え、練習に専念できる環境を提供。内弟子制度でプロを養成している。主な所属選手は、第9代DEEPライト級王者・武田光司、第8代DEEPフェザー級王者・芦田崇宏。