1980年代から90年代にかけて全日本で最強外国人レスラーとして一時代を築いたスタン・ハンセンさん(73=米国)が、諏訪魔-宮原健斗の3冠ヘビー級タイトルマッチの立会人を務めた。

現役時代の入場テーマ曲が会場に流れると、観客から大歓声が沸き起こった。ハンセンさんが姿を現すと、観客はいっせいにスマホを向けて写真を撮影した。ハンセンさんは同じく立会人を務める小橋建太さん(55)とともにリングに上がり、選手権試合宣言を読み上げた。

試合中はリングサイドの席に座って観戦していたが、諏訪魔が場外で宮原に反則攻撃を仕掛けると、イスから立ち上がって抗議。一触即発のシーンに会場が大いに沸いた。試合後、リングから降りると大勢のファンからの握手攻めに、笑顔で応じた。

ハンセンさんは81年12月に新日本から全日本に電撃参戦。ウエスタン・ラリアットという必殺技を武器に、92、93年にチャンピオン・カーニバルを連覇。3冠ヘビー級王座4度獲得。世界最強タッグ決定リーグ戦4度優勝など数々の金字塔を打ち立てた。

久しぶりに肌で感じる武道館の熱気に、試合後は感慨深げな笑顔で「(日本武道館は)いい思い出がいっぱい詰まった会場です。激闘の数々をよく覚えています。戻ってこられてよかった。ニュージェネレーションも育ってきている。うれしい気持ちでいっぱい」。

全日本のリングで約20年に渡って外国人エースとして君臨した。思い出の試合については「1つというよりもすべての試合がとても思い出深い。三沢、天龍、もちろん馬場もみんな素晴らしいレスラーだったので、いい思い出になっている」と振り返った。

馬場さんも鶴田さんも三沢さんもいないが、50周年記念大会を迎えた全日本に「あと50年頑張ってほしい。その頃、ぼくはもういないけど、今日出場した選手が元気にやっているかもしれない」と、新たな時代を背負う選手たちにエールを送った。