プロボクシングの軽量級ホープ、重岡兄弟が国内初の同時世界王座獲得を目指して出陣する。

16日、東京・代々木競技場第2体育館で開催される元世界3階級制覇王者・亀田興毅氏(36)がプロモートする興行3150FIGHT Vol5大会に参戦。兄優大(26)はWBC世界ミニマム級暫定王座決定戦、弟銀次朗(23=ともにワタナベ)はIBF世界同級暫定王座決定戦に出場する。亀田3兄弟(興毅、大毅、和毅)、井上兄弟(尚弥、拓真)に続く、3組目の兄弟世界王者を狙う重岡兄弟とは何者か?

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◆出身地 熊本県熊本市生まれ。16年の熊本地震の時、熊本市の開新高に在学中だった銀次朗は地元で被災。電気と水道が止まり、1週間も家族ととともに車中生活を余儀なくされた。一方、拓大ボクシング部員だった優大は、家族の反対を押し切って福岡経由で飲料水を持って陸路で熊本に戻り、家族をサポート。今回の世界戦では、故郷に明るいニュースを届けようとしている。

◆スパルタ 塗装業を営む父功生さんの独学で兄弟そろって幼少時代から体作りと練習漬けの毎日を送った。空手を経験してボクシングへ。父の指示で下校後、近くの公園で走り込み、空手道場、ボクシングジム、サンドバッグのある自宅の車庫で練習するのが日課。弟銀次朗は「幼少期のボクシングの練習は大変で『俺ら、これで(世界王者に)なれなかったらヤバイでしょ』と思っていた。心底、小学校の時から俺たちが世界王者になれないなら、他になれる人はいないと思っていた」

◆兄弟でアマ複数V 兄優大は開新高で高校4冠。拓大進学後、18年に全日本選手権(ライトフライ級)制覇し、アマ5冠。弟銀次朗は開新高で高校5冠

◆兄弟対決 高校時代、優大が3年、銀次朗が1年の時の県総体決勝で実現も、ゴングが鳴ったと同時に銀次朗サイドからのタオル投入で棄権。この1敗が銀次朗の唯一の黒星となり、事実上の「人生無敗」と言われる。

◆経歴 先に銀次朗が高校卒業と同時に上京し、ワタナベジムからプロ転向。18年9月に3回TKO勝ちでプロデビュー。当初は東京オリンピック(五輪)出場も考えていた兄優大は拓大3年で中退し、ワタナベジムからプロ転向。19年10月に2回TKO勝ちでプロデビュー。

◆プロのタイトル 銀次朗は19年7月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座を獲得後、2度防衛。22年7月に日本同級王座を獲得。優大は21年2月、日本ライトフライ級ユース王座、21年11月、WBOアジア・パシフィック・ミニマム級王座獲得後、1度防衛。22年11月、日本同級王座を獲得した。

◆目標 兄弟での世界ミニマム級主要4団体制覇。銀次朗は元WBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高が保持する13回世界王座防衛の記録更新をミニマム級で狙う。優大はライトフライ級も見据え、複数階級制覇を掲げる。