5月に北海道で開催されたプロボクシング興行で申請、承認された人物とは別のナイジェリア人選手が試合出場していたことが30日、日本ボクシングコミッション(JBC)実行委員会で報告された。

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プロボクシングのリングにライセンスのない素人が立つ。

しかも、その相手が日本ランク1位。想像しただけでもゾッとする。よく事故が起きなかったものだ。「知らなかった」では済まされない不祥事だ。

JBCは選手の安全と健康管理に厳しい決まりを定めている。実力差のある対戦を避けるため、プロライセンスもA、B、Cの3段階に分けている。その試合管理組織がパスポート確認を怠り、素人をリングに上げた責任は重い。

01年の替え玉事件でもJBCはパスポート確認を怠っていた。近年は財政破綻による解散、井岡のドーピング騒動など迷走が続く。「今のJBCに選手の命を預けられない」という日本プロボクシング協会のセレス小林会長の言葉は業界の声を代弁している。安河内本部事務局長も「なれ合いが緊張感の欠如を招いた。管理機能は相当な危機にある」と自認。萩原実理事長は「組織も人も変えないと」と刷新を示唆した。

プロボクシングの魅力は、努力を重ねて研ぎ澄まされた技術と精神の極限の攻防にある。だから人気スポーツとして支持を得てきた。井上尚弥らの活躍で業界の注目度は高まっているが、ファンの信頼や信用を裏切る不祥事は、人気の衰退に直結しかねない。再発防止と信頼回復へ、危機感を持って取り組まなくてはならない。【首藤正徳】

◆国内での替え玉事件 01年7月2日に広島で行われた東洋太平洋スーパーライト級タイトルマッチで王者佐竹政一(明石)が、1位シントン・ナノンタチャイ(タイ)に7回KO勝ちしたが、試合後に挑戦者がノーランカーのピチャイ・ポーパニターだったことが判明。タイのマッチメーカーがシントンの体重が落ちなかったため替え玉を日本に送り込んだ。試合は承認されたが、マッチメーカーがライセンスの停止処分を受けた。