前4団体統一バンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)が、新階級でも最強を証明した。WBC、WBO世界スーパーバンタム級1位として、無敗のWBC、WBO世界同級王者スティーブン・フルトン(29=米国)に挑戦し、8回1分14秒でTKO勝利を収めた。新階級と30歳の初戦でいきなり世界ベルト2本を獲得。井岡一翔(34=志成)に続く国内2人目の世界4階級制覇を成し遂げ、区切りとなる世界戦20連勝を飾った。

鋭い一撃が、動きの鈍くなった統一王者に入った。8回、井上が右ストレートでフルトンの顔面を打ち抜いた。さらに返しの左フックを強振し、ダウンを奪った。立ち上がってきた相手に容赦はしない。さらにラッシュを浴びせロープに追い詰めたところで、レフェリーが割って入り、TKO勝ち。倒した瞬間に1度ガッツポーズ。勝負を決めると挑戦者の青コーナーによじのぼり、約1万5000人のファンに勝利を報告した。

リング上のインタビューで井上は「自分が思うスーパーバンタム級最強のフルトンを8ラウンドで倒すことができたので、このスーパーバンタム級最強と言えるのではと思います。ただ、いま僕が持っているベルトは2本です」と視線を向けた。リングサイドにはもう1人の統一王者となるWBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)が視察していた。かねてフルトン-井上戦の勝者との対戦を希望してきたタパレスは2本の世界ベルトを持ってリングイン。「自分自身がチャンピオンだと証明したいので、井上尚弥と戦いたい」。続けて井上は「今年中にこの2つのベルトを懸けて戦いましょう!」と応えた。新たにWBC、WBO世界同級王者となった井上、そしてタパレスによる4団体王座統一戦実現が一気に現実的になってきた。

昨年12月、バンタム級で史上9人目、日本人初の4団体統一を成し遂げ、今年1月に全ベルトを返上。スーパーバンタム級に転向した初戦で、同級最強と評される無敗の統一王者フルトンに挑んだ。挑戦者としてリングに立つのは約5年2カ月ぶり。18年5月、当時のWBA世界バンタム級王者で10年無敗だったジェイミー・マクドネル(英国)を1回TKOで撃破して以来のことだった。「久びさの挑戦者で、スーパーバンタムでの最初の試合。相手は2団体王者のフルトンなので、過去イチ気合が入っている」と調整してきた。

3月中旬、スパーリング中に拳を負傷。当初発表された5月7日の開催から約2カ月後に延期された。4月中旬には両拳を使った練習を再開し、5月下旬になると外国勢とのスパーリングも開始。「まだ試合をしていないので分からないが、手応えは十分ある。スーパーバンタムがベストなのではないか」と自信を持って臨んだビッグマッチだった。

 

【1回】

井上は挑戦者の色、ブルーのトランクスを着用。入場から終始、気合の入った表情だった。1回開始からお互いの動きを冷静の見ながら距離を取る。井上のボディージャブが先制打。1分すぎまでほとんどパンチの交換なしも、中盤は左ジャブ、さらの右左連打でで前に出る。フルトンはバックステップでかわす。フルトンのジャブは届かない。井上が終始前に出てプレッシャーかける。日刊採点 井上10-9

【2回】

井上がジャブで突き放す。さらに右強打から左ボディーをヒット。フロトンはリングを旋回して逃げる。さらに井上のワンツーから左パンチの3連打がヒット。1分すぎにフルトンの連打は当たらない。2分すぎに井上の右が2発ヒット2発。日刊採点 井上10-9【3回】

開始からフルトンが前に出てジャブを突く。30秒すぎに井上に右ストレートがヒット。中盤はジャブの突き合いに。2分すぎ、井上の右ボディー決まる。終盤は井上のボディーブローにフルトンが下がる。フルトンは鼻血を出す。 日刊採点 井上10-9

【4回】

開始からジャブの突き合い。井上がガードの上から右強打をたたきつける。中盤もジャブの突き合いが続く。フルトンも前に出て右強打をふるう。フルトンも井上のパンチに慣れた感じ。日刊採点 井上10-9

【5回】

フルトンがジャブでプレシャーかける。井上も左ボディーブローを決める。さらに左右連打も。中盤はフルトンの右ストレートが井上の顔面に2発クリーンヒット。井上も右を返す。終盤は井上の左右連打はフルトンのガードの上。フルトンのジャブが当たるように。日刊採点 フルトン10-9

【6回】

フルトンが開始から前に出てプレッシャーかける。中盤は再びジャブの突き合い。井上の左フックから右パンチが浅く当たる。1分50秒、井上の右から左アッパーが浅く当たる。残り1分、井上の連打がヒットしはじめる。終盤に井上の連打がヒットしてフルトンがバランスを崩す。日刊採点 フルトン10-9

【7回】

フルトンがじわじわ前に出てジャブ、ワンツーも井上はバックステップでかわす。中盤にフルトンの右が井上の顔面にクリーンヒット。井上も打ち返す。終盤に井上がフルトンをロープにつめて連打。ゴング間際にフルトンの左フックがヒット。日刊採点 フルトン10-9

【8回】

井上が左ジャブを連発。フルトンは下がってかわす。30秒すぎに井上が右ストレートからの左フックを決めてダウンを奪う。立ち上がったフルトンに井上が連打で襲いかかり、レフェリーがストップ。4階級制覇達成。