「怪物」辻陽太が“幻覚”作戦で白星を手にした。いつものようにガウンをまとい、不気味な笑顔で入場した“辻”。対戦相手のゲイブ・キッドも、これまたいつものように背後からから“奇襲”をしかけた。ゲイブの背後にもう1人の“辻”の姿が。こちらはガウンをしていなかった。ゲイブが背後の辻に気付いた時はには、もう時既に遅し。ジャンピングニーで先手を取った。

うり二つの辻。どこからどう見ても、辻陽太が2人いる。こちらは、双子の兄だった。新日本プロレスワールドで解説を務めたミラノコレクションA.T.さんは「僕、昔、歯医者さんに行った時に、新日本の辻選手のそっくりなお兄さんもこの歯医者に通ってるんですよって言われた事あるんですよ」とさすがの情報通ぶりを発揮。兄は、海外でスタントの仕事をしているという。陽太ほどの肉体ではないものの、やはり見間違えるほど、仕上がったボディー。ゲイブのめった打ちにも屈することはなく、辻の上に辻を落とすボディースラムを受けても、兄も、ピンピンとしていたくらいだ。

完全にゲイブの調子を狂わせた怪物兄弟。兄は加勢することはなかったが、弟のレスラーはサイドスープレックスからのムーンサルトプレスで追い込み、さらにブレーンバスターパワーボム。これらは2カウントで返されたが、最後はジーンブラスターから勝利をもぎ取った。試合後、バックステージに登場した弟・陽太は“分身の術”に触れることはなく「おれの大事な歯が緩んでしまった。付いているか? 外れかかっていないあか?」と報道陣に質問。血が出ていることを聞くと「この歯のメンテナンスにいくらかかっていると思っているんだ。オイ! スーツの傷も含めて、高額請求させてもらうぞ、ゲイブ・キッド!」と開幕前日の記者会見で破られたスーツの代金まで要求した。大事な歯がガタガタとなるほどの壮絶な試合。双子の兄を用意しても、一筋縄ではいかなかった。