WBA、WBCライトフライ級統一王者の寺地拳四朗(31=BMB)が、挑戦者ヘッキー・ブドラー(35=南アフリカ)を9回TKOで下し、世界戦4連続KO勝ちを決めた。これで世界戦13勝目で日本人世界王者では、元世界3階級制覇王者・長谷川穂積、元WBC世界バンタム級王者・山中慎介に並ぶ歴代4位の記録を刻んだ。

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右目上から流れた鮮血がぶん殴りにいくスイッチだった。寺地は5回、ブドラーの偶然のバッティングにより右目上をカットした。いったん試合が止められての再開後に猛然と打ちに出た。苦労はしたが、決着は9回。右ストレートでグラつかせ、一気にまとめて2分19秒、レフェリーストップに導いた。

「序盤から攻めてはいたがなかなかタフな相手で。KO狙いにいって、それでも倒せなかった」

35歳、ベテランの巧者ぶりに苦戦した。それでもきっちり仕留めきったのが、成長の証しだった。

世界戦4連続KOで、日本人世界王者歴代4位に並ぶ世界戦13勝とした。「結果がついてきてくれてうれしいが、これからもそれ(KO)は意識せず、勝つことに集中していきたい」。浮かれることはない。

さらなる進化へ、ハードなトレーニングに取り組んだ。フィジカル面を指導する篠原茂清トレーナーは「最近はファイターの形が目立っていたが、本来のアウトボクシングを取り戻そうと。片足でサイドステップ、バックステップを12ラウンド。かなりきつかったと思うけど、音はあげなくなりましたね」。

体幹を鍛え上げた効果で被弾を避けて右回りしてきたブドラーに対応できた。「判定でもいいかと迷ってしまったが、そこから切り替えられたのはよかった」。加藤トレーナーの的確な指示を受け、きっちりKO勝利で着地した。

年内の試合はラスト。今後はフライ級に上げての2階級制覇も見据えるが「今のところは3団体目にいきたいと思っている」。相手の体調不良で試合が流れたWBO王者ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)との交渉を軸に拳四朗はあくまで世界主要4団体統一にこだわる。「成長することが多いと思う。これからより強くなりたい」。拳四朗の軽量級“最強”への欲望はさらに強まった。【実藤健一】

◆ライトフライ級戦線 統一王者寺地拳四朗が4団体統一を希望。WBO王者ゴンサレスは10月28日、ニカラグアで同級10位レイマン・ベナビデス(ニカラグア)との防衛戦が決定済み。4月に1度は決まっていた寺地、ゴンサレスの統一戦が来年はじめに再セットされるか。IBF王者ノンティンガも11月4日、モナコで同級10位エドワード・バスケス(米国)との防衛戦が決定。日本勢では前WBC王者矢吹正道(緑)、元アジア3冠王者岩田翔吉(帝拳)、元WBO世界ミニマム級王者谷口将隆(ワタナベ)、元WBO世界同級王者山中竜也(真正)らが世界を狙う。

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