WBO世界スーパーフライ級王者中谷潤人(25=M・T)が同級6位アルヒ・コルテス(28=メキシコ)を3-0の判定で下し、初防衛を飾った。

昨年9月、同級最強とされるWBC同級王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(33=メキシコ)に接戦した相手から3度のダウンを奪い、2人のジャッジが13点差をつける大差判定で圧倒した。

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最後まで倒すことにこだわった。中谷は最終12回までに3度ダウンを奪った。勝利は確実だったが、リスクを冒して、得意の左ストレート、ボディーでKOを狙った。「防衛戦の気持ちはない。しっかり勝つことを考えた」。攻め抜いた結果の大差判定勝利だった。

「比べられると思う。しっかりとお見せできるように」。スーパーフライ級で最強といわれるWBC王者エストラーダに際どい判定で敗れたコルテスとの初防衛戦。圧倒すれば、目標の王座統一戦に近づく。5回に左ボディーで2度のダウンを奪う。7回にも左ボディーで倒した。世界戦5戦連続KOこそならなかったが、1人のジャッジが11点差、2人が13点差をつける大差判定で、実力を証明した。

ゴング前から刺激を受けていた。中学卒業後から渡米し、名将のルディ・エルナンデス・トレーナーの指導を受ける。そこで10代の修業時から切磋琢磨(せっさたくま)してきた世界ライトフライ級6位オラスクアガ(米国)が1つ前の試合に登場。日本に帰国後は神奈川・相模原市内の自宅で一緒に生活し、母府見子さんの和食ベースの減量食を口にしてきた。「最高の家族」とも呼ぶ戦友は、激しい打ち合いの末、7回TKO勝利。「待機所で頑張れとの気持ちを伝えてくれた」と大きな力を得てリングに上がっていた。

5月に米ラスベガスで、3度のダウンを奪う劇的なKOで、フライ級に続きスーパーフライ級の王座を獲得した。国内凱旋(がいせん)試合は大差判定で初防衛に成功。目標は最強エストラーダとの王座統一戦になる。「WBC王座は長谷川(穂積)さん、山中(慎介)さんを見てあこがれてきたのでこだわりがある」。エストラーダと接戦を展開したコルテスに完勝したことで、その目標に大きく前進したことは間違いない。【田口潤】

◆世界スーパーフライ級戦線 WBO王者中谷潤人が初防衛に成功した同級には世界クラスの日本選手も多く、軽量級の最激戦区と言われる。4階級制覇王者のWBA王者井岡一翔と同級最強と言われるWBC王者フアン・フランシスコ・エストラーダが統一戦に向けて交渉中。IBF王者フェルナンド・マルチネスはV9防衛に成功してきたジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に連勝し、6月のV2防衛成功後に統一戦を熱望した。日本勢では元3階級制覇王者田中恒成(畑中)が4階級制覇を目指して世界戦準備中。「ロマゴン」こと元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)も王座返り咲きを狙っている。

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