ボクシングWBA世界スーパーフライ級王者井岡一翔(34=志成)がプロ15周年につなげる王座防衛を目指す。

31日、東京・大田区総合体育館で同級6位ホスベル・ペレス(28=ベネズエラ)との初防衛戦に臨む。30日は都内で前日計量に臨み、両者そろってリミットより100グラム少ない52・0キロでクリアした。世界王者で来年4月のデビュー15周年を迎えるため、井岡がKO率78%を誇るWBAからの「刺客」を下し、区切りイヤーにはずみをつける。

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13秒間、井岡は平常心でペレスとフェースオフ(にらみ合い)した。12度目の大みそか決戦は、熱望していたWBC王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)との統一戦ではなかったが、井岡には戦う意味が十分ある。「12回目の大みそかのリングに上がれることにとても感謝している。その舞台があることが戦う理由」と内に秘める闘志をのぞかせた。

09年4月にプロデビューし、来年4月には区切りのプロ15周年を迎える。先月下旬の日刊スポーツの単独インタビューでは「僕の中で評価と自分のやりたいことは均等でいないといけないと思っている。評価をしてもらうために世界王者でいないといけない」と語った。24年はエスラーダ戦実現、スーパーフライ級の最強を示す重要な1年。その区切りイヤーを世界王者で迎える意識は強い。

20年12月、田中恒成(畑中)戦以来、約3年ぶりのKO勝ちを狙う。KO率が高い好戦的な強打者だけにチャンスは十分にある。慎重の言葉を選びながらも井岡は「いかに用意してきたものを出すか。思ったようにいかない展開もある。その状況にやってきたこをはめ込み、ペースを取るのが先決。ペースを取った方が主導権を握れる」と勝利へのポイントを明かした。

井岡の世界戦通算勝利数は21勝で、スーパーバンタム級4団体統一王者井上尚弥(大橋)と並ぶ日本人トップ。勝てば再び単独1位になる。記録に固執する姿勢はない井岡だが、常に日本ボクシング界の「大トリ役」を強めてきた自負はある。「自分が良いパフォーマンスで、良い勝ち方で、今年最後の日を盛り上げたい」。プロ15周年を世界王者で迎えるため、24年を最高の区切りイヤーにするため、井岡はペレス撃破に集中する。【藤中栄二】