ボクシングWBA世界フライ級1位のユーリ阿久井政悟(28=倉敷守安)が、岡山のジム所属初、同県出身では元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎以来の世界王座奪取を狙う。23日にエディオンアリーナ大阪で王者アルテム・ダラキアン(36=ウクライナ)に挑戦。22日、大阪市内で前日計量に臨み、リミット50・8キロでパスした。

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世界初挑戦らしい初々しい光景だった。前日計量をクリアしたユーリ阿久井が写真撮影に臨む。恒例のフェースオフで初めての“儀式”に緊張したか、王者ダラキアンと頭をごっつんこ。その後の取材で「(頭がぶつかり)申し訳ないです」と苦笑いしかなかった。

本番での“バッティング”は無用だ。減量について「うまくいった。厳しくもなかった」と万全の調整をアピール。昨年11月に都内で組まれた一戦が諸事情で延期となったが、その時間をプラスに捉え、相手の研究に時間を費やすことができた。「ズルズル引くとやられてしまう。自分の間合いに引き込みたい」と戦略も明かした。

勝てば岡山のジム所属で初、県出身では元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎以来の世界ベルトとなる。辰吉は91年9月にプロ8戦目で当時の史上最速で世界王座を奪取した。日本ボクシング界の“カリスマ”は同日に次男寿以輝の試合もあり、会場で観戦予定。ユーリ阿久井への見識は「(試合を)見たことないから知らんねん」という現状だが、目の前で世界チャンピオンをつかめば強烈なインパクトを残せるはずだ。

95年9月生まれのユーリ阿久井は「(プロ8戦目での世界王者は)自分が生まれる前ですね」と話したが、もちろん郷土の英雄としてもその存在は熟知する。「面識はないですけど岡山の大先輩。縁を感じます」とうなずいた。

地方ジム所属の誇りがある。東京、大阪のジムを拠点にすることも「考えたことはあります」と明かす一方で「都会でやっていればもっと早く(世界戦が)できたかもしれないが、岡山にいてここまでこれた。岡山からもたくさん、応援に来てもらえるのでうれしい。必ず明日は(ベルトを)とりたい」。岡山から世界王者-。その強い思いを隠すことなく誇示した。【実藤健一】

 

◆岡山出身の主なプロボクサー 男子で世界王者は倉敷市出身の辰吉丈一郎。91年9月にWBC世界バンタム級王座を獲得し、その後2度王座に返り咲いた。岡山市出身の和気慎吾は16年7月にIBF世界スーパーバンタム級王座決定戦に挑むも11回TKO負け。総社市出身の清水聡は昨年7月、WBO世界フェザー級王座に挑み5回TKO負けした。

 

○…ユーリ阿久井の挑戦を受ける無敗のWBA世界フライ級王者ダラキアンは、リミットより400グラム少ない50・4キロで計量をクリアした。すぐに宿泊ホテルに戻り、減量で疲労した体を回復させた様子。フェースオフ後に両者が頭を下げた際に、軽くバッティングするハプニングには苦笑いをみせた。ウクライナ国旗を上半身に巻きつけて愛国心を示し「一番大事なのは踏ん張ること。どれだけ踏ん張りきれるか」と静かに燃えていた。