急きょ開催となった「漢気トーナメント(-60キロ)」決勝が「RISE177」のメインイベントで行われ、パヌワット・TGT(25=タイ、TARGET)が岩郷泰成(26=EX ARES)に右ハイキックで衝撃の2RKO勝ち。賞金100万円を手にした。

この日はもともとメインイベントでRISEウエルター級(-67・5キロ)王座戦を行う予定だった。だが王者・中野椋太(誠至会)に挑戦する同級2位の稲井良弥(TARGET)が左裂孔原性網膜剥離と診断され、試合が延期に。それにともない緊急措置として「漢気トーナメント」という1DAYトーナメントが用意された。

大会の盛り上がりが懸念されたが、ふたを開けてみればパヌワットの豪腕&強烈な蹴り、岩郷の折れない心、準決勝で2人と戦った高橋亮(TRIANGLE)、勝次(TEAM TEPPEN)らの頑張りもあり、後楽園ホールは大歓声に包まれた。

今大会を“救った”と言っても過言ではないパヌワットは「タイトルマッチを見たかった皆さんにとってはすごく残念だったと思うんですけど、僕がこのトーナメントに出ることになって、勝つことができて、たくさんの方々が応援してくれているのを見て、本当に胸が熱くなりましたし、すごくうれしいです」と笑顔で振り返った。

もともとトレーナーとしてタイから来日。日本では判定負けした19年2月の直樹戦1試合しか戦っていなかった。来日当初はあまり練習はせず、タバコも吸っていたという。だが現在小学2年生の長男、3カ月の長女を授かり「もっとムエタイの試合をしていこうという強い意思を持てましたし、僕は家族のために戦っているので。優勝賞金も家族のために使いたい」と、人間的にも成長したという。

その戦いぶりを見たRISE伊藤隆代表は、9月の「RISEワールドシリーズ横浜大会」か、その前の後楽園大会でパヌワットと海外の強豪を対戦させる意向。「今後、60キロの外国人エースとして育てていくのも面白いと思います」とたたえていた。