WBA世界バンタム級タイトルマッチ12回戦で、挑戦者となる同級2位の比嘉大吾(29=志成)が王座を獲得できなかった。
同級正規王者アントニオ・バルガス(28=米国)に挑戦し、12回を戦いジャッジ3人とも113ー113の判定引き分け。規定により王座獲得はならなかった。WBC世界フライ級王座に続く、2階級制覇も逃した。18年4月、自身の体重超過で王座剥奪されて以来、約7年3カ月ぶりの世界王座への返り咲きはならなかった。日本人初の3戦連続の世界挑戦というチャンスだったが、今回も生かすことはできなかった。試合後に引退を表明した。
18年4月、クリストファー・ロサレス(ニカラグア)との3度目防衛戦の前日計量で900グラムの体重超過で王座を剥奪された。日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンス無期限停止処分を受けた。自身の体重超過の責任を取って野木丈司トレーナーが責任を取って所属ジムを辞める事態に。19年10月にJBCから処分解除されるまでの約1年5カ月間の「自粛生活」を余儀なくされた。20年2月の再起戦では2階級上のバンタム級でカムバック。ジェイソン・ブエナオブラ(フィリピン)から2度のダウンを奪って6回TKO勝ちした。
約1年10カ月ぶりのリングで勝利したが、プロ生活を支えてくれた野木トレーナーが当時は不在。その影響は大きく「夢を追って東京に出てきた当時の闘争心が今の自分にない、それがない限り、世界王者になるのは無理。こんな気持ちだったら意味がない。このままモチベーションが上がらなかったら辞めようと思っている」と吐露していた。
すぐに環境を変えた。翌月には所属ジムを離脱し、野木トレーナーとの再タッグを組めるジムを模索。同トレーナーと同じ横浜に引っ越し、同6月には現在のジムに移籍した。20年大みそかに獲得したWBOアジア・パシフィック同級王座の初防衛戦では現IBF世界同級王者西田凌佑(六島)に敗れて後退した時期も乗り越え、昨年9月にはWBO世界同級王者武居由樹(大橋)に挑戦したものの、僅差判定負けだった。
武居戦後は引退を決意したが、同11月に王座奪取した同じ95年度生まれとなる堤の挑戦者としてオファーが届いた。アマチュア時代から知り合いの「戦友」との再戦(20年10月の初対決は引き分け)。1週間、熟考して現役続行を決め、世界再挑戦のリングに立った。ダウンの応酬の末、またも引き分け。王座獲得はならなかったが、その後、堤が左目手術で休養王者となり、暫定王者から正規王者に昇格したバルガスへの挑戦チャンスが巡っていた。
【ラウンドVTR】
1回 お互い様子見をしながらジャブを差し合う展開。両者とも有効打はなかったが、手数でバルガスが上回った。日刊採点はバルガス10-9
2回 比嘉はボディーブローからワンツーと上下に散らしながら攻めた。バルガスは終盤に距離を詰めて、ボディー連打を決めた。日刊採点は比嘉10-9
3回 バルガスは左ジャブを的確に入れながらワンツーで攻め込む。比嘉は警戒しながらも終盤に右ストレートを決めた。日刊採点はバルガス10-9
4回 比嘉が開始30秒すぎに左フックを決めてダウンを奪う。ダメージのあったバルガスだが、ひるまず前に出る。最近2試合ダウンを奪われてから逆転しているだけに何度も連打も繰り出した。日刊採点は比嘉10-8
5回 比嘉が左ボディーからのコンビネーションで攻め立てる。踏み込んでの左フックも決める。バルガスも前に出て、終盤にはカウンターの左フックをたたき込んだ。日刊採点は比嘉10-9
6回 比嘉は左ボディーからの連打など回転力が上がる。バルガスも引かない。左フック、左ジャブから左ボディーなどで対抗した。日刊採点は比嘉10-9
7回 バルガスが距離を詰めて細かいパンチを決めた。左フック、左ジャブと手数も多い。下がらされた比嘉は左フックなどで対抗した。日刊採点はバルガス10-9
8回 バルガスがプレッシャーをかけて前に出て左右の連打。比嘉は2分すぎに左フック、左ボディーなどで対抗もペースは握られた。日刊採点はバルガス10-9
9回 比嘉が距離を詰めて左ボディーを放つなど攻め込む。1分すぎからは両者の打ち合いが続く。ともに引かずに打ち合う。比嘉は右フック、右ストレートを決めた。バルガスは細かい連打を決めた。日刊採点は比嘉10-9
10回 比嘉が開始から右のオーバーハンドのフックを決めた。1分すぎにはボディー攻撃で、バルガスは明らかに嫌がる。その後もボディー攻撃を続ける。左フックでバルガスの足を止める場面も。バルガスは終盤に細かい連打を決めた。日刊採点は比嘉10-9
11回 比嘉は開始から下がらず前に出続ける。バルガスは中盤から細かい連打を繰り出す。バルガスの連打に、比嘉は単発の右フックなどで対抗。バルガスは終盤も連打。日刊採点はバルガス10-9
12回 比嘉が1分半すぎに左フックを決める。バルガスはフラフラになる。比嘉は攻め立てたが、バルガスも引かない。逆に終盤、バルガスが右アッパーでダウンを奪った。日刊採点はバルガス10-8
◆比嘉大吾(ひが・だいご)1995年(平7)8月9日、沖縄・浦添市生まれ。宮城小-仲西中まで野球部。中学3年時、具志堅用高会長の現役時代のKO動画に触発され、宮古工に進学してボクシング部へ。アマは国体8強が最高成績。具志堅会長に誘われ、白井・具志堅ジムでプロ転向。14年6月にプロデビューし、1回KO勝ち。15年にタイでWBCユース・フライ級王者、16年に東洋太平洋同級王者に。17年5月にWBC世界同級王者となり2度防衛。18年4月の3度目防衛戦の前日計量で体重超過し王座陥落。20年7月に志成ジム移籍。同12月、WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座獲得。身長160・8センチの右ファイター。

