現役助産師で、前WBC女子世界ライトフライ級王者の富樫直美(37=ワタナベ)が10日、東京・後楽園ホールで引退式を行った。助産師として500人以上の子供を取り上げながら、女子初の世界王者として7度の防衛に成功。2つの仕事を両立した経験を生かして、今後は「助産師作家」として活動する。

 次の夢へのスタートは切った。一部の出版社から、2つのハードな仕事をこなしたコツを本にまとめたいとのオファーを受けた。どうモチベーションを上げ、ハードスケジュールをこなしてきたかなど、すでに自分の経験をもとに執筆活動に入っている。昨年11月には自叙伝「走れ!助産師ボクサー」(NTT出版)も出しており「助産師作家」への不安はない。

 「ボクシングはやり切ったし、悔いはない。これからもいろいろなことにチャレンジしたい」。今後は助産師を続けながら、執筆活動、講演を通して、ボクシングの普及、女子スポーツ、障害者スポーツの支援などを行う。23日には都内で、会社員の滝田優二さん(30)と結婚式を挙げる。自身の出産も希望しており、将来的には助産師、妻、母、作家と4足以上のわらじを履く。

 ◆富樫直美(とがし・なおみ)1975年(昭50)7月31日、東京都生まれ。01年助産師免許取得。02年ボクシングを始め、05、07年、全日本女子制覇。08年プロテスト合格。同7月WBC世界ライトフライ級暫定王座獲得、7度防衛。6月V8失敗、引退決意。右ボクサーファイター。