大相撲の横綱日馬富士関の暴行問題で、負傷した平幕貴ノ岩関の師匠、貴乃花親方(元横綱)は22日、日本相撲協会危機管理委員会による貴ノ岩関の聴取実施への協力要請を拒否した。

 当事者の一方から聞き取りのめどがたたず、危機管理委の調査への影響が懸念される。

 協会幹部によると、同親方は理由を説明しなかった。今後も協力を要請していくという。危機管理委は既に日馬富士関からは事情を聴いた。

 貴乃花親方は九州場所開催中の福岡国際センター内の役員室に呼ばれ、八角理事長(元横綱北勝海)ら協会執行部と約30分協議。同席した春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)によると、要請を受けた貴乃花親方は「お断りします」と返答したという。

 貴乃花親方は10月29日に鳥取県警へ被害届を出しており、協会関係者によると警察の捜査を最優先する意向。一方で真相究明を目指す危機管理委は貴ノ岩関に対する聴取を重要視しており、態度を硬化させている同親方の協力を得られなければ、問題は長期化する可能性もある。

 また、スポーツ庁の鈴木大地長官が九州場所後の28日に八角理事長と会談し、相撲界における暴力根絶を要請する見通しであることが分かった。問題の報告も求める。

 鈴木長官は同理事長から陳謝の手紙を受け取ったことを明らかにし「協会内のガバナンス(組織統治)も主に話させていただきたい」と説明した。