関脇逸ノ城(25=湊)が、三役で初めて初日から4連勝を飾った。自己最重量225キロの巨体を生かし、初顔合わせの豊山(時津風)を一方的に寄り切り。横綱鶴竜や部屋のおかみさんから土俵内外のアドバイスを受け、身も心も一回り大きくなった成果を発揮し始めた。先場所は小結で9勝。今場所の成績次第では、来場所の大関とりも現実味を帯びてくる。

 関取最重量の逸ノ城が重機のように楽々と、181キロの豊山を土俵外へと追いやった。左で張った立ち合いから左上手をつかむ。胸を合わせて圧力をかけると、相手は何もできなかった。

 今場所前、時津風部屋への出稽古で申し合いを重ねたが、本場所は初顔合わせ。「最近、強くなっているので変に引っ張り込まないよう気を付けた。自分の相撲を取れた」。警戒するからこそ一気に寄り切り、通算6場所目の三役で初めて初日から4連勝を飾った。

 時津風部屋では、同じく出稽古で訪れた鶴竜から金言を受けた。稽古で力を抜く癖を見抜かれ「そういうのが本場所で出る。上に上がっていくためには(本場所で)勝つイメージを稽古場でつけないとダメ」と、しかられた。前日3日目の大栄翔戦は物言いがつく辛勝だけに、鶴竜の言葉を思い出し全力で臨んでいた。

 部屋では湊親方(元前頭湊富士)夫人の三浦真(まこと)さんから、食事に関する助言を受けてきた。真さんは「最近は雰囲気や発する言葉も変わってきました」と話す。4月の春巡業後、何度目かの“コーラ断ち”を宣言。真さんの助言もあって、炭酸水に替えて疲労回復に努めている。

 今場所中は自らさばいた約500グラムの羊肉を、ドカンと丼に入れた自称「ラムチャーハン」を夕飯として食べている。「作っている時は『早く食べたいな』と思っている」と、根っからの食いしん坊だが、塩味の微調整は「人に任せられない」というこだわり派。相撲も体格を生かした豪快さに繊細さも加わり始めた。

 阿武松審判部長(元関脇益荒雄)が「1つ上を目指せる力士になった」と言えば、八角理事長(元横綱北勝海)も「どっしりしてきた」と高評価。大関昇進の目安となる三役3場所合計33勝の足固めへ「2ケタ勝ちたい」と目標は明確だ。【高田文太】