新大関栃ノ心(30=春日野)が豪快に3連勝を決めた。小結松鳳山に完璧な両差しを許したが、左上手、右上手と順に深い位置のまわしを引き、外四つのつり出しを決めた。「右を差された時に左上手がしっかり引けたからね。腰を落として。向こうもつられないように腰を落としてた。あれで相手がデカかったら無理だけど」。

 体重141キロの相手を引っこ抜く怪力殺法に、場内は大歓声に包まれた。本人は「そうだったの? でも。ああいうときは何も聞こえない。何か耳がシーンとしてる」と笑った。

 新大関の役目を十分に果たす序盤戦だ。「(この日の)相撲の内容は良くないけどね。でも、いつもいい相撲が取れるわけじゃない。とりあえず勝った。白星が一番ですよ」。あまりに機嫌がいいからか「人に言わない」という験担ぎを自分からポロリ。「とんぼがいいのかな」-。先場所初日から、同じとんぼ柄の浴衣で帰路についている。とんぼは、後方に飛ばないとして験がいいとされる。「先場所、途中で替えようかと思った。でも、勝ちが続いて替えられなくなった」。この日も“勝利のとんぼ”に身を包み、会場を後にした。