西十両10枚目の安美錦(40=伊勢ケ浜)は、2場所連続の勝ち越しはならなかった。ともに7勝7敗で迎えた豊山戦は、鋭い踏み込みから突いて前に出続けた。だが自身より26キロ重い、175キロの豊山のパワーに徐々に後退。最後は土俵下まで押し出された。

支度部屋に戻ると開口一番「無事に終わってよかったんじゃないかな。いいなりに、悪いなりに、毎日しっかりと準備してやれたと思う」と、今場所を総括した。勝ち越せなかったことには「勝たなきゃいけないけど、細かいことは気にしない」と、冷静に話した。

負け越したが、来場所の十両残留は確実で「土俵にこの年齢で立てることを前向きにとらえて、しっかりと行動していきたい。ここまで戦い抜けたというのは、次につながる」と、来場所を見据えたように話した。引退については、常に考えていると話すが「心の火なんて、ほとんど消えているようなもの。自分で火をつけてあげなきゃいけない」と、自らを奮い立たせながら土俵を務めている現在の心境も話していた。