日本相撲協会は29日、東京・両国国技館で名古屋場所(7月7日初日、ドルフィンズアリーナ)の番付編成会議を開き、琴鎌谷改め琴ノ若(21=佐渡ケ嶽)の新十両昇進を決めた。祖父は先代佐渡ケ嶽親方の元横綱琴桜。現佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男で、史上10組目の親子関取となる。関取昇進にあたり父のしこ名を継承。同日、千葉・松戸市の部屋で会見を行った“2代目”琴ノ若は「全然顔じゃない(相応しくない)けど、このしこ名に恥じぬよう精進していきたい」と話した。

高校相撲の名門、埼玉栄高に在学していた15年九州場所で初土俵を踏み、所要4場所で幕下昇進を果たしたが、そこから幕下の壁に阻まれ続けた。「小さなけがも重なったが、そこから少しずつ気持ちが切り替えられた」。地道に番付を上昇させ、東幕下2枚目だった夏場所で4勝3敗の成績を残した。新十両は際どいラインで「今日まで気が張っていた」と心が落ち着かなかったが、この日の朝、師匠から昇進と改名を言い渡される形で吉報が届いた。その場に居合わせた母真千子さんと師匠に「おめでとう」と祝福されたという。琴ノ若は「小さいけど親孝行ができた」と、かみしめるように語った。

偉大な祖父のしこ名も受け継いだ。下の名前も本名「将且(まさかつ)」から「傑太(まさひろ)」へと変更。祖父が大関昇進直前から引退まで名乗っていた「傑将(まさかつ)」から1字取った。現師匠は「先代が一番喜ぶ字だと思ってつけた。これ(2代目琴ノ若)が生まれたとき、万歳して喜んでいた。力になるだろうし、先代も天国で喜んでくれていると思う」と、改名の理由を明かした。

将来的に大関以上に昇進すれば「琴桜」襲名の可能性もある。まずは新十両場所となる名古屋へ「一番一番力を出し切ってそれが結果につながればいい」と、淡々としていた。