西前頭8枚目隠岐の海(33=八角)が、有望力士にエールを込めて土をつけた。新入幕の西前頭10枚目貴源治(22=千賀ノ浦)を下手投げ。

左四つで上手こそ奪えなかったが、攻め急がなかった。「勝負は勝負。明日から1日1日頑張るだけ」と、内容については振り返らず、淡々と前を向いた。

大きな期待を寄せている若手からの白星だった。4月の春巡業中、自身の課題点を関取衆にたずねまわっていた当時十両の貴源治に対して、隠岐の海は「勝ちたいと思うな。やることをやれば(幕内に)上がれるから」と言葉をかけていた。貴源治は6月の新入幕会見で「隠岐の海関が特に真面目に返してくれた。上がりたい、上がりたいと思っていたら、勝てないんだと気づかされた」と感謝。先輩関取にちゅうちょなく課題を尋ねまわる貴源治について、隠岐の海は「最高じゃないですか。強くなるやつは聞いてくるから」と、その向上心を認めた。ただ「あれ(貴源治)はおしゃべりだけど、そういうやつはたくさんいるからね」と、笑みを浮かべながら注釈をつけた。

敗れた貴源治は「やっぱり三役経験者なだけあって、戦ってみて『何かあるな』と分かった」と、内に秘めながらも収穫を得た様子。22歳の大器は「いい経験。切り替えてまた明日から」と、黒星を喫しながらも表情は充実していた。