日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で理事会を開き、東前頭17枚目の貴源治(22=千賀ノ浦)にけん責、千賀ノ浦親方(58=元小結隆三杉)に10月から6カ月間、20%の報酬減額とする懲戒処分を決めた。

相撲協会の発表によると、貴源治は今年5~7月ごろの間、都内の千賀ノ浦部屋や名古屋場所の稽古場などにおいて、同部屋の新弟子4人に、暴力は振るっていないが、暴言や新弟子4人が「理不尽」と考える行動を取っていた。新弟子4人が言いつけられた仕事を忘れたり、あいさつの仕方が悪かったりしたことに対する罰として「腕立て伏せ、罰金、外出禁止のどれかを選べ」などと命じて、腕立て伏せをさせていた。新弟子の誰かが失敗すると連帯責任として、4人全員に腕立て伏せ30回を2セット行うよう命じる行為が、複数回にわたって実行された。

名古屋場所中には、新弟子の1人が言いつけられたことをすぐ忘れるとして、他の力士がいる前で、片腕を頭上に挙げる格好をさせた上で「自分は頭が悪いです」と言うように命じて発言させた。さらに、その様子をスマートフォンで録画する動作もした。これらの行為に対する処分で、コンプライアンス委員会は「貴源治の行為は、失敗した当事者か否かにかかわらず、連帯責任として新弟子4人に腕立て伏せを命じた理不尽なものであり、指導の範囲を逸脱している」「新弟子の1人に『自分は頭が悪いんです』と言わせた行為も悪質である」との見解を示した。ただし、付け人への2度目の暴力で自主引退を促された、双子の兄で西十両5枚目の貴ノ富士とは違い、過去に懲戒、指導歴がなく、おおむね事実関係を認めて現在は反省し、二度とこのような言動を行わない旨誓約しているため、けん責処分にとどまった。

千賀ノ浦親方は、昨年12月に、元前頭貴ノ岩のよる付け人への暴力の際にけん責処分を受けながら、今回の貴ノ富士と貴源治の悪質な言動を止められなかったとして、減俸処分となった。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「重い処分」と話した。