山形県置賜郡白鷹町出身で東十両12枚目の白鷹山(24=高田川)が、6人いる東北出身関取の勝ち越し一番乗りを決めた。

同10枚目の矢後を寄り切って8勝3敗とし、関取では初の6連勝と7場所ぶりの勝ち越し。昨年春場所で左足を骨折して番付を下げたが、体重を含めたパワーアップでつかんだ再十両場所で、優勝争いでも1差につける。

   ◇   ◇   ◇

白鷹山が左はず押し、右おっつけで、矢後を土俵下まで力強く寄り切った。立ち合いで強く当たった頭を、相手のあごの下で何度も突き上げる。差されても構わず前へ。「押せたのは良かったけれど、まだまだ課題も多い。右の脇が甘いし、頭もへそとみぞおちの間くらい低くいかないと。勝ち越せたことはうれしいですけれど、その気持ちを明日に引きずってはいけない」。残り4日間に気を引き締め直した。

昨年初場所で、十両3場所連続勝ち越し。だが、新入幕目前だった同春場所に左足首を骨折して途中休場すると、翌夏場所も全休し、幕下に陥落した。復帰後の成長には「かなり体重が増えました」。当時155キロあった体は、約20キロ増加。糖尿病の影響もあって太りにくかったが、飲食物を工夫しながら結実した。「それを支えるにはどうしたらいいのか。はたき、いなしにも対応していかないと」。四股、てっぽう、すり足の基本も再度見直し、強靱(きょうじん)な下半身を作り上げてきた。

器用な技があるわけでなく、体を生かした前に出る突進力が最大の武器だと理解している。「やれることは少ないし、限られているので、1つ1つ極めたい。より良い形に進化させて圧倒していければ良い」。18年秋場所以来の2ケタ勝利も見えてきたが、まずは福島市出身の若隆景(25=荒汐)と対戦する12日目の一番に集中する。【鎌田直秀】