大相撲11月場所(8日初日、東京・両国国技館)で再入幕を果たした東前頭14枚目千代の国(30=九重)が31日、電話取材に応じた。

この日の朝稽古では相撲は取らず、基礎運動で汗を流したという。「下半身の筋肉を落とさないようにということと、後はケガを増やさないようにということ。体の調子を見ながらという感じです」と現在の調整状況について説明した。

前頭だった昨年初場所で左膝靱帯(じんたい)を損傷して途中休場すると、完治まで時間がかかり、翌春場所から3場所連続全休で幕下まで番付を落とした。その膝の具合は「まだ6割ぐらい。本当に徐々になんですけど、徐々に徐々に本当に少しずつよくなっている感じ」と話した。今年で30歳となり「若さで乗り切れる年でもない。体の声も聞いていかないといけない」と慎重だ。

だからこそ、日々の積み重ねを大事にする。復帰場所となった昨年秋場所前の8月に行った北海道合宿。当時、部屋の序二段力士にも歯が立たず「三段目なんか強くて強くて。ひどかったですよ本当に」と振り返る。だから「みんなより1時間早く起きて、先に1時間くらい四股を踏んだ。それで序ノ口から稽古していって、最初から入る感じだった」と当時、半年前まで幕内で相撲を取っていた千代の国だったが、おごることなく序ノ口相手に稽古を積み重ねた。

復帰した昨年秋場所で幕下全勝優勝を果たし、翌九州場所からは3場所連続で3勝4敗だったが、今年の7月場所で再び幕下全勝優勝を果たして十両復帰を決めた。そして秋場所を14勝で十両優勝すると、11月場所での幕内返り咲きを果たした。「家族、子どももそうですし、いろいろ支えられた。後援者や地元の人たちもそう。結果を出して恩返ししないといけないとはずっと思っていた」と周囲からの支えに感謝し、奮闘を誓った。