16場所ぶりに関取に復帰した東十両13枚目の宇良(28=木瀬)が、居反りの大技で旭秀鵬(友綱)を下し、3勝2敗と白星を先行させた。

十両以上では93年初場所12日目に十両の智ノ花(のち元小結智乃花)が花ノ国に決めて以来、約27年ぶりの珍手となる。

「ついに出たというか、何とも言えないですね」と照れ笑うが、鮮やかだった。後ろ向きの不利な体勢から、プロレスでいうバックドロップのように相手をなぎ倒した。「自然に体が動いた。危ないですけどね。自分でもびっくりした。これを稽古場でもできるわけないんで難しい」。

最高位東前頭4枚目から序二段まで落ちる原因となった両膝には、いまだ“爆弾”を抱える。リスクを背負いながらの連日の土俵だが、体が自然に反応した。「たまたまそういう動きになっただけ。何とも言えない気持ちですね。白星先行といっても1つだけ。あと10番頑張りたい」。けがに泣かされてきた驚異的な身体能力が、少しずつ目覚めようとしている。

 

◆居反り(いぞり) 相手が上からのしかかるように攻めて来た時、しゃがみ込むように腰を落とし、両手で相手の膝を抱えて担ぎ上げ、後ろに反って倒す技。日本相撲協会公式サイトにも「滅多に見られない大技です!」とある。