西前頭11枚目炎鵬(26=宮城野)が、長いトンネルからようやく脱出した。立ち合いは左に動き、巨漢の東前頭8枚目碧山(34=春日野)の右足を抱えた。そのまま一気に土俵外に向かって運び、最後は体全体を使って寄り切った。

ようやくつかんだ今場所初白星。「あれしか頭になかった。立ち合いはまわしを取りにいこうと思った。それからは覚えてないです」と必死につかんだ白星だった。

取組後には、ここまでの心境を赤裸々に明かした。「正直、毎日土俵に上がるのが辛かった。自信もなかった。どうしたらいいか分からない状態だった。怖がって相撲を取っていた」と止まらない連敗に頭を悩ませていた。そんな状況で自身を支えてくれたのは、周囲からの応援や観客の拍手だった。「こんな時でも毎日応援してくれる、支えてくれる人がいたおかげでここまでやってこれた。この1勝は周りの人に感謝したい。とても大きな1勝になった」としみじみと話した。