東十両2枚目の翠富士(24=伊勢ケ浜、静岡県焼津市出身)が10勝5敗同士の優勝決定戦を制し、初の十両優勝を果たした。静岡県勢では2011年5月場所の磋牙司(38=入間川、三島市出身)以来、9年ぶり。171センチ、114キロの小兵力士が、歴史に名を刻んだ。

勝てば優勝の本割で、旭秀鵬(32=友綱)にはたき込まれた。同じ相手との決定戦。低い立ち合いから真っすぐ出て、最後は相手が内無双にきたタイミングで一気に押し出した。「本当にうれしい。本割で勝ちたかったですけどね」と苦笑いを見せた。

本割では勝ちたい意識が強すぎたか、攻め込みながら足が出なかった。戻った支度部屋で髪を結い直しながら、付け人と「どうしようか」と相談。そこに現れたのが、部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)だった。「安治川親方に『胸からいけ』と。胸からいったら引きは食わない。どうだろうと思いながら、その通りにいったら勝てました」。的確な助言が生きた。

これで来場所の新入幕が濃厚になった。「テレビでいつも見ていた人たちと当たる。できる限りいっぱい勝ちたい」。炎鵬をはじめ、小兵の活躍が目立つ幕内の土俵に加わる。「炎鵬関を見ていて、自分もそうなりたいと思っていました」。得意技の肩透かしで巨漢力士に挑む。