大関復帰を確実にしている関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が、今場所4日目以来の単独トップに立ち、大関返り咲きに花を添える、昨年7月場所以来3度目の幕内優勝に王手をかけた。

結びの一番で、対戦成績4戦全勝と相性のいい大関朝乃山(27=高砂)と対戦。意表を突くような朝乃山の、もろ手突きの立ち合いも冷静に対処。右の相四つで激しい攻防を展開したが、最後は左上手を引きつけ、右のかいなを返した照ノ富士が、万全の体勢で寄り切った。

大型力士同士の四つ相撲に、協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は「見応えのある、いい内容だった」と両者の力の出し合いを評価した。朝乃山の立ち合いには「右を深く差せれば、というところだったのではないかな」と朝乃山の意図をくんだ。その上で「やっぱり上手を取って強かった。上手と(右)下手をね」と照ノ富士の力を、あらためて評価した。力ばかりでなく「相撲がうまかった。(朝乃山の)上手を切りながら、かいなを返しながら(の寄り)。朝乃山も先手を取りたかっただろうが終始、照ノ富士の流れだった」と理詰めの攻めもほめた。

千秋楽で照ノ富士は、4敗の大関貴景勝(24=常盤山)と対戦する。敗れれば、高安-碧山戦の勝者を加えた優勝決定ともえ戦に持ち込まれる。昨年の11月場所千秋楽も、星の差1つで両者は対戦。リードしていた貴景勝が本割で照ノ富士に敗れ並ばれたが、優勝決定戦で下し2度目の優勝を遂げた。「以前(昨年11月場所)と反対だったでしょう? 照ノ富士が(本割で)勝って決定戦で負けた。似たような感じ(状況)でしょう」と4カ月前のシーンを思い起こすように同理事長は話していた。