東前頭4枚目霧馬山(25=陸奥)が2場所連続で大関朝乃山を破った。相手得意の左上手を許しながら、巧みに切って上手投げ。今場所は2勝4敗と黒星が先行しているが、春場所中に現役を引退した兄弟子の鶴竜親方(元横綱鶴竜)から日々助言をもらい、着実に成長している。大関に復帰した照ノ富士は初日から6連勝。1敗の大関貴景勝、関脇高安が追走している。

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「勝っても負けても、真っすぐいけた」と霧馬山の笑顔がはじけた。初めて朝乃山に勝った先場所は、立ち合いで左に動いてあっけなく送り出す“注文相撲”だったが、今回は正面から当たった。四つ相撲の本格派大関から、真っ向勝負で白星をつかんだ。

朝乃山の形になっても慌てなかった。差し手争いから右四つに組み、浅い位置で相手得意の左上手を取られた。万事休すと思われたが、あごをつけた体勢から下手で振って上手を切る。棒立ちとなった大関を、上手投げで豪快に転がした。「最後まで我慢できた」と満足そうにうなずいた。

部屋にはこれ以上ない“参謀”がいる。19年9月に旧井筒部屋から転籍し、今年3月の春場所中に引退した部屋付きの鶴竜親方から、対戦相手の対策を教わる。「まわしを切るとか頭をつけろとか…。(対策の助言は)いつも言われている」と感謝している。

大関貴景勝や平幕の阿武咲らと同じ1996年度生まれ。昨年12月の合同稽古に参加した際は「同い年なので、どうしても負けたくないという気持ち」とライバル心をメラメラ燃やした。

最高位は昨年11月場所の東前頭筆頭。左肩の負傷などで番付を落としていたが、先場所から再び上位総当たりの地位に戻ってきた。「最後まで、今日みたいな相撲を取っていきたい」。成績次第では来場所、新三役を狙える地位に就く。巻き返しに向け、モンゴル出身のホープがきっかけをつかんでいく。【佐藤礼征】

 

▽朝乃山の話 自分の形の左上手が外れて、そこから攻められた。攻めがバラバラになった。明日からまた自分の相撲を取っていきたい。

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