1敗の照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が勝てば、通算4度目となる大関初優勝が決まる一番は、土俵際の壮絶な投げの打ち合いに。左を小手に巻きながら照ノ富士が打つかけ投げを、3敗で追う遠藤(30=追手風)が右からの下手投げで応戦。行司軍配は照ノ富士に上がったが、物言いがつき協議の結果、照ノ富士の右肘が一瞬、先に着いており、軍配差し違えで遠藤の勝利。遠藤の体も完全に裏返っていたが、逆転の白星をもぎ取り、優勝争いを千秋楽まで持ち込ませた。

報道陣の電話取材に応じた八角理事長(元横綱北勝海)は、協議中も「投げの打ち合いは(相撲の)醍醐味(だいごみ)。(照ノ富士は)膝が悪いのにね。最後は柔らかさが出たけど攻めきれなかった。遠藤は休まなかったね」と両者の敢闘精神をほめた。

協議の結果が伝えられると、まず照ノ富士の敗因を問われ「二本差されたこと。二本差されても(いつものように)きめられなかった。遠藤が最高の相撲を取ったということでしょう」と語った。さらに遠藤の責め方にも言及。「照ノ富士に小手投げがあるのは分かっているだろうから、右をうまく差して右の方に寄っていった。(最後の右)外掛けは余計ではね上げられたけど、そのへんが紙一重の差になった」と、見応えたっぷりの大一番を解説。「遠藤は大殊勲」のコメントも2度、発した。

優勝争いは千秋楽へ。直接対決で照ノ富士が、1差で追う貴景勝(24=常盤山)に勝てば優勝。敗れれば、両者による優勝決定戦に、遠藤も本割で勝てば3人による優勝決定ともえ戦に持ち込まれる。この日、優勝を決められなかった照ノ富士だが、八角理事長は「本人とすれば今日、決めたかっただろうが、ただ、1つ勝っている(リードしている)。(1差があるのは)大きい。勝敗通り、照ノ富士が1つ上でしょう。そうはなりたくないと思ってるだろけど、負けても決定戦があるから」と有利である状況を説明した。