日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が27日、東京・両国国技館で開かれ、史上9人目の新横綱での優勝を遂げた照ノ富士(29=伊勢ケ浜)について、報道陣の代表取材に応じた横審の矢野弘典委員長(産業雇用安定センター会長)が称賛の言葉を述べた。

白鵬が休場し、1人横綱としても重圧がかかる中での優勝に、同委員長は「新横綱として立派に土俵を務め、しかも優勝を飾った。これは日頃の心掛けが実ったものとして高く評価している」とし、今後についても「品格と強さを併せ持つ横綱として精進し、土俵の内、外を問わず多くの力士の模範になってほしい。発言にも浮ついたところもなく、横綱としての覚悟も十分にうかがえる」と大きな期待を寄せた。

昇進までの足取りについても「たいへん強い決意と深い思いを抱いて横綱になった人。序二段から戻って想像の出来ない苦労があったと思う。不屈の精神、我慢、努力、忍耐を経てきたと思う」と思いを寄せ、今後についても「心身の状態を維持して横綱として立派にやっていってほしい」と期待した。

ただ、照ノ富士の強さが際立ったことで、次の横綱や大関候補が不在の寂しい状況も指摘。「なるべく早く次の横綱が出てほしいという、願望の声が(横審委員から)出た。大関以下の役力士が本当に奮起して、横綱に肉薄してほしい」と期待はするが、ではその候補となると委員会では名前が出なかったという。平幕が活躍した秋場所を振り返り「大関以下の役力士の成績が物足りなかった。勝ち越すにしても8勝か9勝程度にとどまっている。平幕力士との力の差も、ほとんどないのではないかと感じられた。来場所の奮起を期待したい」と苦言を呈した。その他、コロナ禍で本場所が盛況に終わったことについて矢野委員長は、日本相撲協会や関係者の尽力を評価する言葉も述べた。