新入幕で東前頭15枚目の若元春(28=荒汐)が、17日が命日だった祖父の元小結若葉山に白星を届けた。西前頭11枚目の照強を得意の左四つで寄り切り、白星先行の5勝目を挙げた。前日8日目から土俵入りの際に使う化粧まわしを変更。祖父が現役時代に使用したものと同じデザインで、天国から力をもらった。関脇御嶽海が9連勝で単独首位を守り、1差で追う横綱照ノ富士は勝ち越しを決めた。

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天国の祖父も目を細めるような会心の一番だった。立ち合いでかち上げ気味に当たった若元春は、自信を持つ左四つで小兵の照強を一気に寄り立てた。「何をやってくるか分からない相手。踏み込みすぎずよく見ていった」。3連勝で3日目以来の白星先行。尻上がりに調子を上げてきた。

17日が祖父、若葉山(享年78)の命日だった。自身が7歳だった01年に死去。相撲を指導してもらったことはないが「旅行に連れて行ってくれたり、優しいおじいちゃんだった」。8日目からは地元後援会から贈られた、金色の獅子舞が描かれた化粧まわしを着用。祖父が現役時代に使用したものと同じデザインだった。土俵入りの際は「少し思うところはあった。勝たなきゃいけないというのを感じた」。重圧に打ち勝つ白星だった。

長男の幕下若隆元、三男の前頭若隆景と「大波3兄弟」で出世を目指す。若隆景と史上12組目の兄弟幕内となったが、弟には新入幕、新三役と先を越されただけに対抗心を燃やしている。「背中を追いかけてきた。追い越せるように頑張りたい」。切磋琢磨(せっさたくま)する3兄弟の姿を、祖父も見守っている。【佐藤礼征】