日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で大相撲春場所(3月13日初日・エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議を開き、19歳の熱海富士(伊勢ケ浜)の新十両昇進を決めた。初土俵から所要8場所は元大関の小錦、把瑠都に並ぶ歴代7位のスピードとなる。

西幕下筆頭で迎えた初場所は、最後の7番相撲に勝って4勝3敗と勝ち越し。2連勝発進から3連敗とがけっぷちに追い込まれていただけに涙、涙の勝ち越しとなった。「緊張というか、実感がわかなくて」と話していたが、会見になり「ようやく実感が出てきました。大相撲に入ったときから20歳までに関取という目標があった。達成できてよかった」と目を細めた特徴的な笑顔を振りまいた。

静岡・熱海市の出身力士としては初の関取となる。地元は昨年、多くの人命を失う豪雨被害にあった。それだけに「地元が大変なときに自分が勝っていいニュースを届けられたらと思っていた」と話し、コロナ禍の影響で凱旋(がいせん)の予定はたてられないが、「自分も熱海大好きなんで。帰ることができたら地元の方々、母校(飛龍高校)の先生、後輩たちに報告したい」と言った。

185センチ、164キロの恵まれた体を誇るが、課題を「(先場所は)初めて連敗して、3連敗とかしちゃって。自分のメンタルの弱さとか課題が出ました。このままじゃダメです。もっと稽古して強くなりたい」。そこはまだ19歳。先場所の苦しい経験が心もひとまわり成長させたはず。

来場所の目標を「まず勝ち越しですが、十両優勝を狙いたいですね」と掲げ、「稽古場でも横綱(照ノ富士)の相撲を間近で見られるのは恵まれていると思う。(将来的な目標は)目の前の一番一番だが、横綱になりたいです」。夢への第1歩を踏み出した。