東大出身初の力士となった須山(24=木瀬)が前相撲に出場し、白星を飾った。国立大出身の力士は須山が5人目。第1号の元一ノ矢の松田哲博さん(61)に話を聞いた。

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松田さんは、須山のデビュー戦を映像で見た。「今日は思い切って取れていましたね」と話した。

琉球大出身の松田さんは若松部屋(のち高砂部屋)に入門し、1983年九州場所で初土俵。初の国立大出身力士として注目されたからこそ、「東大初」として話題になる須山の気持ちが分かる。

「なんとか頑張ってもらいたいし、まっとうしてもらいたい。自分も入った時は騒がれて、てんぐにはならなかったけど、いいところを見せようと思ってしまった。テレビや雑誌、全部の取材を受けて、無理をしてしまった。それでケガも増えました。(須山も)どうやっても注目されますから」

松田さんは身長170センチ、体重100キロの小兵で最高位は三段目6枚目。46歳まで現役を続けた。

実は、須山と面識がある。東大相撲部の新田一郎部長とは学生時代の同学年で、対戦したことがある。現役の時から、東大相撲部に稽古をつけに行ったことがあり、今は「東大相撲部を強くする会」の会員。そんな縁もあり、4月に東京都内のレストランで行われた須山の壮行会に呼ばれた。

相撲部OBらがあいさつする中、松田さんは「今まで学んだことを全部捨てて頑張ってください。今までの常識が通じずに戸惑うこともあるかもしれないが、受け入れる気持ちを持ってほしい」などと激励した。

須山からは「(相撲部屋に)いじめなどはありますか?」という質問を受けたという。須山の人柄に触れた松田さんは「周囲から聞くと、細かいことにはこだわらない性格のようです。プロ向きの性格で、いいと思います。体格的にも伸びしろがありますね」と今後の出世に期待した。【佐々木一郎】

◆大学出身力士 大学出身力士は1917年の山錦(関大)が第1号。以降、国立大出身は須山が5人目。一ノ矢は琉球大理学部卒業、弓の里は高知大農学部中退、舛名大は名古屋大工学部卒業、庄司は埼玉大工学部中退。過去4人は全員が理系で、東大文学部哲学科の須山は、初の国立大文系出身力士でもある。