新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された名古屋場所が幕を閉じた。7日目の出羽海部屋での感染者発覚を皮切りに、本場所中に12部屋で感染者が判明。場所前に判明した田子ノ浦部屋を含めれば13部屋で、力士約620人のうち約170人が休場した。十両以上は戦後最多の23人と前代未聞の本場所となった。

日本相撲協会にとっては新たなルール作りが必要となりそうだ。同時に4部屋休場となった13日目では、中入り後の取組で16番中7番が不戦となる異常事態。団体生活の相撲部屋だけに、感染者が1人でも判明すれば所属力士らが休場というルールが要因だった。芝田山広報部長(元横綱大乃国)は「今後、幕内の取組が5番しかないということもあり得る」と危機感を口にする。再検査で陰性だった場合は休場させないなど、感染していない力士らの出場案を模索していく方向だという。

これまで場所前の感染確認などで全休した場合、当該力士の翌場所番付は据え置き、もしくは1枚降下程度の措置だった。場所中の陽性判定による途中休場は初で、想定したルールは設けられていない。勝ち越しや負け越しが決まってから休場した力士もおり、秋場所番付編成会議では難しい判断が迫られる。

多数の休場者が出たため、従来よりも取組開始時間が遅くなったり、自身の番付がどうなるか、不安を口にする力士も多かった。力士が本土俵に集中できる環境作りは、協会にとって最重要課題。徹底した感染対策も含めて、秋場所まで課題は山積みだ。【佐々木隆史】