大相撲の西前頭2枚目逸ノ城(29)と湊親方(元前頭湊富士)の師弟関係が、修復不可能な状況にまで陥っていることが11日、分かった。

日本相撲協会関係者によると、逸ノ城の湊親方夫人への暴行の疑いが浮上。一方で師弟間での金銭トラブルや、逸ノ城が会話の際に弁護士を通す必要を主張していることなどが判明した。既に協会から事情聴取を受けており、九州場所(13日初日、福岡国際センター)は出場の方向で、初日と2日目の取組に入った。

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一年納めの九州場所開催直前に、思わぬ師弟間のトラブルが浮上した。部屋関係者によると、逸ノ城はこれまでに私生活での過度な飲酒が問題視されてきた。過去に飲食店で泥酔して部屋に連れ戻そうとした際、介抱を振り払おうとした腕が湊親方夫人にぶつかったことがあったという。そのような行為に湊親方が再三注意したが、簡単には直らなかったという。

昨年12月ごろから部屋を出て1人暮らしを始めた逸ノ城だが、飲酒の影響で稽古を無断で休むこともあったという。これらの私生活などでの問題に対し、湊親方は3月ごろに協会へ実情を報告。これまでに両者は、花籠コンプライアンス部長(元関脇太寿山)に事情を説明してきたという。今後、コンプライアンス委員会が事実関係を調査し、九州場所後にも処分案をまとめる可能性が出てきた。

一方、師弟間で金銭トラブルがあったと指摘する関係者もいるなど、両者の信頼関係は破綻しているようだ。7月の名古屋場所で初優勝した際にはすでに、まともに話し合い出来る状況ではなかったという。湊親方が逸ノ城と話し合いをしようとするも、金銭トラブルが念頭にあるためか「弁護士を通して話してください」と返答されるという。

福岡入り後も逸ノ城は部屋でちゃんこを食べていないなど深い溝が出来ている。昨年9月に逸ノ城は日本国籍を取得。日本名は師匠の姓をもらって「三浦駿(たかし)」としたが、そんな師弟の強い絆は今や見る影もない。

この日は取組編成会議が開かれ、逸ノ城は初日に小結玉鷲、2日目に関脇御嶽海との対戦が決まった。福岡・久山町の宿舎での稽古後、一部で暴力疑惑を報じられたことについて「何も思っていない。相撲だけに集中している」と明言を避けた。異例の師弟関係のまま、長い15日間が始まる。