日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で臨時理事会を開き、平幕の逸ノ城(29)と師匠の湊親方(元前頭湊富士)に対して、処分を下した。逸ノ城を初場所(来年1月8日初日、東京・国技館)出場停止、同親方を報酬減額(20%を3か月)の懲戒処分とした。

新型コロナウイルス感染防止策の一環で外出禁止となっていた20年10月23日~11月22日の間、外出が制限されていた21年8月2日~26日の間に、逸ノ城による飲食店への無断外出が明らかになった。

協会の見解は以下。

▼逸ノ城に対して

「逸ノ城は、平成26年九月場所以降、長期間にわたって三役を含む幕内力士を務めており、他の協会員らの模範となるべき立場にあった。それにもかかわらず、逸ノ城は、相撲協会が一丸となって新型コロナウイルス感染対策に取り組み、多くの協会員らが外出を自粛して窮屈な生活に耐えている中、相撲協会の外出禁止や外出制限に違反して、2度にわたって酒食のための無断外出に及んだ。一方で、いずれの外出制限違反についても、飲食店滞在は短時間にとどまっている上、友人数名と飲酒したにすぎず、接客を伴うものではなかったことから、感染リスクは比較的低かったといえる。また、逸ノ城は、調査の場において反省悔悟の情を示し、今後は相撲協会のルールや部屋の約束事を遵守する旨、誓約している。

以上の事情を考慮し、逸ノ城については、出場停止の懲戒処分が相当と判断した」

▼師匠の年寄湊について

「湊親方は、本調査において、弟子らに対して、繰り返し、相撲協会からの外出制限指示を遵守するよう指導していたと説明している。しかしながら、逸ノ城が二度の無断外出に及んだ当時、同人は、部屋住み力士として湊親方の目の届く範囲で生活していたものである。それにもかかわらず、結局、湊親方は、二度にわたる逸ノ城の無断外出を制止できなかったのであるから、逸ノ城に対する指導監督が不十分であったといわざるを得ない。

さらに湊親方は、二度にわたる逸ノ城の外出制限違反の事実を知りながら、当時、相撲協会に報告していなかった。相撲協会による外出制限の指示は、協会全体を挙げての新型コロナウイルス感染症防止対策の一環であり、協会員が相撲協会からの指示に背いて不要不急の外出をした事実は、協会内における同感染症まん延の具体的リスクを発生させたものとして、直ちに相撲協会に報告して協会全体で対策を検討すべきものであることから、湊親方による報告義務違反を軽く見ることはできない。

以上の事情を踏まえ、湊親方については、報酬減額の懲戒処分とすることが相当と判断した」

また、師匠の湊親方(元前頭湊富士)夫人への逸ノ城の暴力疑惑については、日本相撲協会のコンプライアンス委員会の答申を踏まえ、不問とした。