大相撲で最高位東前頭11枚目、モンゴル出身の東龍(36=玉ノ井、本名サンドゥイジャブ・トドビレグ)が27日、東京・両国国技館で引退会見を行った。右膝をけがしてから最近約10年は「稽古も日常生活も、左足だけだった」と、深刻なけがと戦いながら土俵に上がっていたと打ち明けた。それだけに、先月の九州場所初日に左膝をけがして2日目から千秋楽まで休場し「左がダメになったら歩けなくなる」と、引退を決断したという。それでも続けてくることができた要因を問われ「家族がいたから」と話すと、涙を流した。

会見にはナランフー夫人、高校1年の長女エンフトグトーンさん(16)、小学6年の長男オリギローンくん(12)、幼稚園に通う次女エンフリーレンちゃん(6)も駆けつけ、最後は記念撮影に納まった。九州情報大にも通っていた東龍は「日本に来て22年目。日本に来てよかった。やりきったかなと思う」と、晴れやかな表情になって話した。会見に同席した師匠の玉ノ井親方(元大関栃東)は「稽古場では毎日、コツコツとやっていた」と、まじめな性格を称賛した。

来年9月28日には両国国技館で断髪式を行う予定。「第2の人生は決まっていないけど、モンゴルを1周したり、世界のいろんなところに行ったり、旅行したいですね」。最後は家族に囲まれ、幸せそうな笑顔を見せながら「お世話になりました」と、あいさつして会見場を後にした。