新入幕で西前頭15枚目の大の里(23=二所ノ関)は、初の大関戦で“銀星”獲得とはならなかった。2敗対決となった豊昇龍に敗れて8勝3敗となった。20年秋場所14日目に、翔猿が大関貴景勝に挑んで敗れて以来となった、新入幕力士の大関戦。前日10日目の関脇琴ノ若戦に続き、館内のファン投票で決まる懸賞の「森永賞」にも選出される注目度の高さだった。だが新入幕で大関に勝った、14年秋場所の逸ノ城の再現とはならなかった。同場所の逸ノ城は、11日目に稀勢の里、12日目に豪栄道と、2大関を破っただけではなく、13日目には横綱鶴竜まで破って金星を挙げている。大の里は12日目に、横綱照ノ富士戦が組まれた。この日は敗れたが、初金星を挙げれば、110年ぶりの新入幕優勝の可能性をつなぐことになる。

前日は琴ノ若に完敗した。立ち合いからもろ差しを許し、何もできないまま寄り切られた。それでも初めて幕内後半戦で取組を行い、初めて経験した三役以上との対戦は大きな財産となった。取組後は「足りないものがたくさんある」と反省しつつ「ワクワクした。新入幕でこの経験ができるのを想像していなかった」と、収穫の大きさを口にしていた。

この日の豊昇龍戦に向けては「(上位陣に)どれくらい通用するのか力試しになる。今持っているものを出したい」と、挑戦者として臨む決意を強めていた。豊昇龍に敗れて3敗目を喫し、優勝争いから1歩後退した。それでも初土俵から5場所目。出世の早さに追いつかず、まだまげは結えない。ざんばら髪の力士として史上初の優勝へ、巻き返しを期待するように、敗れても大きな拍手が送られていた。

【初場所】取組結果一覧