思い出が詰まった、ゆかりの地で今度こそ三役復帰を決める! 日本相撲協会は26日、大相撲春場所(3月10日初日、エディオンアリーナ大阪)の新番付を発表し、大関経験者で注目の朝乃山(29=高砂)は、番付を西前頭7枚目から6枚上げ、三役目前の西前頭筆頭につけた。

昨年は年内の三役復帰を当面の目標にしていた朝乃山だが、西前頭2枚目の好位置につけていたさくねん9月の秋場所は、前半の4連敗が響き9勝6敗。勝ち越せば三役復帰という東前頭筆頭に番付を上げた翌九州場所は、秋巡業でケガをし初日から休場。8日目から出場し4勝4敗と健闘したが、7つの休みが響き番付が降下。出直しの先場所も初日から7連勝で復活優勝の夢も抱かせたが、ここでも負傷し4日間の休場。再出場後は2勝1敗で何とか9勝3敗3休という数字で、今場所の番付アップにつなげた。今度こそ、関脇だった21年秋場所(この時は出場停止処分中で全休)以来の返り三役を果たしたいところだろう。

他の力士の成績との兼ね合いもあるが、勝ち越しさえすれば三役復帰の道は開けるだろう。もちろん、それで満足せず先場所の中盤まで期待させた、優勝争いに加わるのがファンの思いだろう。近大出身の朝乃山にとって「第2の故郷」ともいえる大阪の地は、入門後もゆかりのある地だ。三段目最下位格付け出しで初土俵を踏んだのが、今から8年前の16年3月の春場所だ。その1年後の春場所は晴れて関取になり、新十両優勝の可能性を千秋楽まで残した(10勝5敗で優勝同点)。コロナ禍で無観客開催となった4年前の春場所では、三役3場所目で11勝を挙げ翌場所の大関昇進を決めた。出場停止が明け最初の春場所となった昨年は、2場所連続十両優勝こそ逃したが、13勝2敗で翌場所の再入幕につなげた。大阪のファンを前に、再び「強い朝乃山」を見せつけたいところだ。

対戦成績で分の悪い照ノ富士(0勝6敗)、霧島(不戦を除き3勝4敗)、豊昇龍(0勝4敗)、貴景勝(5勝6敗)らの横綱・大関陣に、勢いのある新大関の琴ノ若。さらに関脇大栄翔にも7勝13敗(不戦を除く)と苦手にしているだけに、ここは打開したいところだ。ただ、万全の状態で土俵に上がれば、朝乃山の力量からすれば勝ち越しはもちろん、2ケタ勝利は十分、可能だろう。3月1日に誕生日を迎え、30歳で初めて上がる土俵で大関復帰への道を切り開きたいところだ。

朝乃山は、日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス感染対策ガイドライン違反が、大関6場所目の21年夏場所中に発覚。翌7月の名古屋場所から6場所出場停止処分を受けた。その間、番付は大関→関脇→西前頭10枚目→東十両4枚目→西幕下2枚目→同42枚目→西三段目22枚目と急降下した。

土俵復帰した22年名古屋場所は、しこ名の「朝乃山英樹」の、下の部分を「朝乃山広暉(ひろき)」と本名に変え心機一転で再起の土俵に上がり、危なげなく7戦全勝で優勝。幕下は、2場所連続で5戦全勝から6番相撲でともに敗れたため6勝1敗だったが、2場所で通過し昨年1月の初場所で関取復帰となる再十両を果たした。その場所は14勝1敗で優勝、そして3月の春場所は13勝で夏場所の再入幕を決めた。

幕内返り咲きを果たし東前頭14枚目で臨んだ、その5月の夏場所は、初日から7連勝。ストレートでの給金直しこそ逃したが、10勝1敗で残り4日を迎えた。12日目に大栄翔、13日目に照ノ富士に敗れ優勝争いから後退したが、残り2日は連勝し、幕内では20年7月場所以来となる12勝を挙げていた。翌7月の名古屋場所はケガで途中休場も、再出場からの4連勝で勝ち越しを決めるなど、最近は多くなったケガなどのアクシデントを除けば順調な歩みを続けている。