大関経験者で西前頭筆頭の朝乃山(30=高砂)は、5場所ぶりの2桁白星を逃した。

けんか四つの関脇若元春に、右はおっつけられて差せなかった。我慢比べとなった差し手争いを制せず、相手得意の左四つに組み止められると、胸を合わせて寄り切られた。前日14日目は、負ければ尊富士に110年ぶりの新入幕優勝を許すところで、意地を見せて寄り切っていた。だがこの日は見せ場なく敗れ「最後に負けたら何も意味がない。相手の形にさせてしまった」と肩を落とした。

前日14日目の尊富士戦は、寄り切って勝った後に、相手が右足を痛め、車いすに乗って引き揚げた。自身も先場所まで4場所、毎場所別々のけがに苦しめられていただけに、心を痛めたという。その上で「真剣勝負の土俵で起きたこと。こちらも必死だったと分かってほしい」と、思いやった。

来場所は、念願だった3年ぶりの三役返り咲きが濃厚となった。「けがなく15日間、取り切れたことがよかった」。来場所こそ2桁白星を達成し、まずは目標とする大関返り咲きに向けて、目安とされる「三役で3場所33勝」の起点をつくるつもりだ。

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