大相撲の大関琴ノ若(26=佐渡ケ嶽)が、現在のしこ名で最後の公式行事に臨んだ。

28日、埼玉・深谷市で行われた春巡業最終日に参加。夏場所(5月12日初日、東京・両国国技館)から、元横綱で祖父のしこ名「琴桜」を襲名予定で、30日午前6時の番付発表を境に「琴ノ若」と別れを告げる。この日、琴ノ若は現在のしこ名への愛着を問われると「この名前で上がってきたわけですからね。『ない』とはいえない」と、さびしさを口にした。

一方で「まあ、いずれ『若』の字はまた、しこ名に入れる」と明かした。現在は「傑太(まさひろ)」を名乗っている、しこ名の下の名前に「若」を入れて改名するという計画。どのような名前になるのか、改名の時期については「ふたを開けてのお楽しみ」と、詳細は明かさなかったが、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)から受け継いだ「若」も、再び継承する考えだ。

29日を休日にあてる予定だけに「琴ノ若」として、実質最後の日にふさわしく、朝稽古から存在感を発揮した。しのぎを削ってきた大関豊昇龍と三番稽古に臨み、計11番で7勝4敗と勝ち越した。さらに、その後のぶつかり稽古では横綱照ノ富士に胸を借りた。3月31日から、約1カ月に及んだ今回の巡業で、早い段階から土俵で相撲を取る稽古を行っており「幅広く、タイプの違う相手と稽古できた」と、充実感を口にした。最後の取組こそ、豊昇龍に押し出されて敗れたが、最後の「琴ノ若!」の大歓声をかみしめ、最後となるかもしれない「琴ノ若」のサインを、丁寧に書いていた。