人気力士の西幕下30枚目・炎鵬(30=伊勢ケ浜)が東24枚目の小原(25=浅香山)を下手投げで退け5勝目(1敗)をあげた。

低い立ち合いからの差し手争い。鋭く相手の懐に潜り込んだ炎鵬が、左で相手のたてみつを取り、一気の攻めで下手投げを決めた。「相手(との距離感)が遠かったので見ていきました。状況に合わせて対応できました」と振り返った。

首の負傷で23年夏場所途中から6場所連続休場。引退も「何百回も考えた」というが、周囲の支えがあって昨年秋場所、序ノ口から奇跡の復帰を果たした。

序ノ口、序二段、三段目といずれも6勝1敗でクリアし、幕下まで番付を戻した今場所。残り1番を残すが、5勝目で来場所は関取復帰に向けてさらに番付を上げることになる。

前の相撲で黒星を喫したが、「負けがあって今日の勝ちがあると思うので。経験して強くなれたと思う。ありがたい」と進退を考えるほどの大きなけがを経験したからこその今がある。

炎鵬の名が呼び上げられるよ館内はひときわ大きな拍手と歓声にわく。ありがたいと感謝しつつ、「声を聞いている余裕がないというか、それだけ無になって戦えている」という。

今後に向けて、番付を上げていけば相手も強く変わってくる。「先のことは考えられないですね。もちろん怖さもあります。なるようになるかな、と。自分のやることをやれば、その先は決まってくる」。達観した境地にいる人気力士の戦いは、多くの人に勇気を与える。